学習トップ / 理由で解く 臨床医学総論 / 臨床医学総論 第5章 ▸ J. 背部 / Q19A058

理由で解く 臨床医学総論

Q19A058 局所の診察

出典:あマ指 第19回(2011) 問題58
問題
特発性側弯について正しい記述はどれか。
選択肢
1 椎体奇形が原因である。
2 生後すぐ気づかれることが多い。
3 肺活量が低下する。
4 治療は成人後に開始する。
解答
正解3(肺活量が低下する。)
解説

特発性側弯(そくわん)症(側彎症とも書く)は、原因を特定できない脊柱の側方への曲がりで、思春期の女子に多く成長期に進行する。構築性の弯曲は椎体の回旋を伴うため胸郭が変形し、胸椎の弯曲が高度になるほど肺がふくらみにくくなって肺活量が低下する。したがって3が正しい。

側弯はまず、脚長差や疼痛回避などの姿勢によって生じ原因を除けば戻る機能性(非構築性)側弯と、椎体の回旋を伴って自然には戻らない構築性側弯に分ける。構築性側弯はさらに、椎体の奇形(半椎・癒合椎など)による先天性、脳性麻痺や筋ジストロフィーなどの神経筋疾患による神経筋性、原因を特定できない特発性に分けられ、構築性のなかでは特発性が大半を占める。特発性で最も多いのは思春期側弯症で、成長が速まる時期に急速に進むため、学校の健康診断で行う前屈テスト(立位で体を前に曲げ、背部の左右差=肋骨隆起や腰部隆起をみる)による早期発見が要になる。弯曲の程度はコブ(Cobb)角で表し、立位正面像で、弯曲のいちばん上で最も傾いた椎体(上端椎)の上縁と、いちばん下で最も傾いた椎体(下端椎)の下縁にそれぞれ線を引き、その2本がなす角度を測る(側面像では測らない)。角度と成長の残りに応じて、経過観察、体幹装具(ミルウォーキーブレース、ボストンブレースなど。目的は進行の抑制であり、できた弯曲を治すものではない)、手術と進める。施術で背部の左右非対称や肩の高さの差に気づいたら、成長期の学童・生徒では整形外科の受診をすすめたい。

✗ 1. 誤り
椎体奇形が原因である。
椎体の奇形(半椎や癒合椎など)が原因で生じるのは先天性側弯症である。特発性側弯症は、こうした骨の形の異常や神経筋疾患などの原因が見あたらないものを指す。名称の「特発性」がそのまま「原因不明」を意味する点を押さえたい。
✗ 2. 誤り
生後すぐ気づかれることが多い。
特発性側弯症で最も多いのは思春期側弯症であり、成長が速まる学童期後半から思春期にかけて背部の左右差として気づかれることが多い。乳幼児期に発症する型もあるが少数で、生後すぐや3歳頃までに気づかれるのが一般的というわけではない。
✓ 3. 正しい
肺活量が低下する。
側方への弯曲に椎体の回旋が加わると胸郭が変形し、肺が十分に拡張できなくなる。その結果、息を最大に吸ってから吐き出せる量である肺活量が低下し(拘束性換気障害)、弯曲が高度なほど心肺機能への影響が大きくなる。
✗ 4. 誤り
治療は成人後に開始する。
弯曲は骨の成長が続く時期に進行するため、成人を待つと変形が固定してしまう。学校健康診断などで早期に発見し、コブ角と成長の残りに応じて経過観察・体幹装具・手術を成長期のうちに進めるのが原則である。背部の左右差に気づいた段階で整形外科の受診をすすめたい。
ポイント
  • 側弯はまず機能性(非構築性)と構築性に分ける。機能性は脚長差や疼痛回避など姿勢によるもので、原因を除けば戻り、前屈しても肋骨隆起は出ない。
  • 構築性側弯の内訳=特発性(原因不明・最多)/先天性(椎体奇形)/神経筋性(脳性麻痺・筋ジストロフィーなど)。特発性は思春期の女子に多く、成長にともなって進行する。
  • 弯曲の程度はコブ(Cobb)角で表す。立位正面像で、弯曲のいちばん上で最も傾いた椎体(上端椎)の上縁と、いちばん下で最も傾いた椎体(下端椎)の下縁にそれぞれ線を引き、その2本がなす角度を測る(側面像では測らない)。
  • 構築性の弯曲は椎体の回旋を伴うため胸郭が変形し、弯曲が高度になるほど肺活量が低下する(拘束性換気障害)。重度では心肺機能障害となる。
  • 治療は成長期に開始するのが原則。学校健康診断の前屈テストで早期発見し、経過観察→体幹装具(ミルウォーキーブレース、ボストンブレースなど。進行の抑制が目的)→手術と進む。
  • 重要用語: 特発性側弯症, 構築性側弯と機能性側弯, コブ角, 拘束性換気障害, 体幹装具(ミルウォーキーブレース) を正確に理解しておくこと。
比較表
型構築性か原因気づかれ方・特徴
機能性(非構築性)側弯非構築性(椎体の回旋を伴わない)脚長差・疼痛回避などの姿勢によるもの原因を取り除くと弯曲が戻る。前屈しても肋骨隆起は出ない
特発性側弯症構築性不明(骨の奇形や神経筋疾患がない)構築性側弯の大半。思春期側弯症が最多で、女子に多く成長期に進行する
先天性側弯症構築性椎体の奇形(半椎・癒合椎など)骨の形の異常が原因のため乳幼児期から見つかることがある
神経筋性側弯症構築性脳性麻痺・筋ジストロフィーなどの神経筋疾患原疾患の経過に伴って生じる
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。

この問題をアプリで理由で解く 臨床医学総論
App Store入手