学習トップ / 理由で解く 臨床医学総論 / 臨床医学総論 第4章 ▸ F. リンパ節 / Q19A059

理由で解く 臨床医学総論

Q19A059 全身の診察

出典:あマ指 第19回(2011) 問題59
問題
悪性腫瘍のリンパ節転移における触診で正しい記述はどれか。
選択肢
1 熱感を伴う。
2 圧痛がある。
3 表面は整である。
4 可動性に乏しい。
解答
正解4(可動性に乏しい。)
解説

悪性腫瘍がリンパ節に転移すると、腫瘍細胞が増えて周囲の組織へ浸潤するため、触ると硬く、表面は不整で、進行すると指で押しても動きにくくなる。したがって「可動性に乏しい」が正しい。

癌腫はリンパ管を通って所属リンパ節へ広がる(リンパ行性転移)。悪性腫瘍は周囲の正常組織のすきまに入り込む浸潤性発育をし、境界が不明瞭で破壊性が強いので、転移したリンパ節は、進行すると被膜を越えて周りの脂肪組織や筋膜と癒着し、固定されやすい。一方、感染などで腫れた炎症性のリンパ節は炎症の五大徴候(発赤・熱感・腫脹・疼痛・機能障害)を反映して熱感と圧痛を伴い、表面は平滑で可動性は保たれる。触診では「硬い・表面不整・動かない・痛くない」の4点がそろうかどうかで、この2つを見分ける。無痛だからこそ気づかれにくいことも押さえておきたい。

✗ 1. 誤り
熱感を伴う。
熱感は局所の血流増加(充血)によって生じる炎症の徴候であり、感染などによる反応性のリンパ節腫脹の特徴である。転移リンパ節は炎症が主体ではないため、通常は熱感を伴わない。熱感のあるリンパ節腫脹では、まず感染・急性炎症を考える。
✗ 2. 誤り
圧痛がある。
疼痛(圧痛)も炎症の五大徴候の一つで、化学伝達物質と腫脹が神経終末を刺激して起こる。転移リンパ節は無痛性のことが多く、「痛くないから心配ない」という判断は危険である。無痛性で硬いしこりに気づいたときこそ、医療機関の受診を勧めたい。
✗ 3. 誤り
表面は整である。
悪性腫瘍は浸潤性に発育して境界が不明瞭になり、腫れた結節どうしが融合するため、表面は整(平滑)ではなく不整・凹凸となる。表面が平滑で弾性軟のものは、むしろ反応性の腫脹を示唆する所見である。
✓ 4. 正しい
可動性に乏しい。
浸潤性発育により腫瘍細胞がリンパ節の被膜を越えて周囲組織へ入り込み、癒着・固定するため、指で押しても動かない(可動性に乏しい)。良性腫瘍や反応性腫脹が周囲を押しのけるだけで可動性を保つのと対照的である。
ポイント
  • リンパ行性転移は癌腫に多く、リンパ流に沿って所属リンパ節から次のリンパ節へ広がる。
  • 転移リンパ節の触診所見=硬い・表面不整・可動性に乏しい・無痛性(熱感なし)。
  • 炎症性(反応性)のリンパ節腫脹=熱感・圧痛あり、表面平滑で可動性は保たれる。
  • 悪性腫瘍が固定される理由は浸潤性発育(境界不明瞭・破壊性が強い)にある。
  • 硬く動かない無痛性のリンパ節に気づいたら、施術を続ける前に医療機関への受診を勧める。
  • 重要用語: リンパ行性転移, 浸潤性発育, 炎症の五大徴候, 可動性 を正確に理解しておくこと。
比較表
触診所見悪性腫瘍のリンパ節転移炎症性(反応性)リンパ節腫脹
硬さ硬い(石のよう)弾性軟〜弾性硬
表面不整・凹凸平滑(整)
可動性乏しい(周囲に癒着・固定)保たれる(よく動く)
圧痛ないことが多いあり
熱感伴わない伴う
背景浸潤性発育・転移感染などによる炎症(五大徴候)
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。

この問題をアプリで理由で解く 臨床医学総論
App Store入手