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理由で解く 臨床医学総論

Q19A011 衛生学

出典:あマ指 第19回(2011) 問題11
問題
我が国の最近の死亡率のうち数値が上昇してきているのはどれか。
選択肢
1 粗死亡率
2 年齢調整死亡率
3 乳児死亡率
4 妊産婦死亡率
解答
正解1(粗死亡率)
解説

粗死亡率は人口の年齢構成の影響をそのまま受けるため、高齢化が進むと上昇する。したがってこれが答えとなる。

粗死亡率は1年間の死亡数を人口で割った値(人口千対)で、年齢構成を調整していない。高齢者が増えれば死亡数は当然増えるので、たとえ各年齢での死亡しやすさが改善していても粗死亡率は上昇する。この年齢構成の影響を取り除いて比較できるようにしたものが年齢調整死亡率で、高齢化が進む局面では粗死亡率が上昇する一方、年齢調整死亡率は低下していることがある。乳児死亡率・妊産婦死亡率は母子保健の水準を反映する指標で、我が国では低下してきた末に低い水準にとどまっており、上昇してきている指標ではない。水準が低いことと年次推移は別なので、設問が推移を問うているときは推移そのもので判断する。「上がっているのは高齢化のせいなのか、本当に悪化しているのか」を見分けるために年齢調整死亡率があると理解しておくと、この種の設問に強くなる。

✓ 1. 正しい
粗死亡率
粗死亡率は年齢構成を調整していないため、高齢化が進むと上昇する。我が国の傾向として粗死亡率の増加は複数の回で正しいとされている。
✗ 2. 誤り
年齢調整死亡率
年齢調整死亡率は基準人口を用いて年齢構成の違いの影響を除いた死亡率で、高齢化が進む局面でも上昇するとは限らず、低下していることがある。数値が上昇してきている指標としては選べない。
✗ 3. 誤り
乳児死亡率
乳児死亡率は、衛生環境や母子保健・医療の充実に伴って低下してきた指標であり、上昇してきているものではない。その結果として、我が国は世界最低の水準にあると繰り返し問われてきた。
✗ 4. 誤り
妊産婦死亡率
妊産婦死亡率も低下してきた指標で、上昇してきているものではない。第24回(2016年ごろ)の出題時点でも、我が国の妊産婦死亡率は他の先進国より高くはないとされている。
ポイント
  • 粗死亡率=1年間の死亡数÷人口×1000(人口千対)。年齢構成の影響をそのまま受ける。
  • 高齢化が進むと粗死亡率は上昇するが、年齢調整死亡率は低下していることがある。
  • 年齢調整死亡率=基準人口を用いて年齢構成の違いの影響を除いた死亡率。年次比較・地域比較に用いる。
  • 乳児死亡率・妊産婦死亡率は低下してきた指標で、上昇してきているものではない。水準の高低と年次推移は別に押さえる。
  • 重要用語: 粗死亡率, 年齢調整死亡率, 基準人口 を正確に理解しておくこと。
比較表
指標分子分母高齢化が進むと
粗死亡率1年間の死亡数人口上昇する
年齢調整死亡率基準人口に当てはめた死亡数基準人口年齢構成の影響を受けない
乳児死亡率生後1年未満の死亡数出生数高齢化の影響を受けない
妊産婦死亡率妊産婦死亡数出産数(出生数+死産数)高齢化の影響を受けない
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