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理由で解く 臨床医学各論

Q27H079 呼吸器疾患

出典:鍼灸 第27回(2019) 問題79
問題
「67歳の女性。胸部エックス線写真で右上肺野の末梢側に2cm大の結節影があり、気管支内視鏡検査で肺癌と診断された。」最も可能性が高い組織型はどれか。
選択肢
1 腺 癌
2 小細胞癌
3 大細胞癌
4 扁平上皮癌
解答
正解1(腺 癌)
解説

肺の末梢側(末端側)にできた小さな結節、という部位の情報から、最も可能性が高いのは腺癌です。肺癌の組織型は「どこにできたか」で大きく絞り込めます。

癌(癌腫)は上皮性の悪性腫瘍で、組織学的には扁平上皮癌・腺癌・未分化癌の3つに大別されます。肺癌ではこれを臨床に合わせて腺癌・扁平上皮癌・大細胞癌・小細胞癌の4型に分けて扱い、3分類の未分化癌にあたるのが大細胞癌と小細胞癌(現在のWHO分類では、小細胞癌は神経内分泌腫瘍に分類される)だと考えると両者はつながります(小細胞癌とそれ以外=非小細胞癌とで性質や治療の進め方が大きく異なるため、この4型で覚えます)。腺癌は腺腔(分泌物を出す管の構造)をつくる癌で、肺では気管支末梢が好発部位とされています。一方、扁平上皮癌は気管・気管支の粘膜から発生しやすく(本来は円柱上皮である気管支粘膜が扁平上皮の形質をもつ方向へ癌化する)、肺門側―つまり中枢側の太い気管支にできる傾向があります。本問は「右上肺野の末梢側に2cm大の結節」という部位の情報が決め手で、末梢型でしかも肺癌全体で最も頻度が高い腺癌を選びます。

✓ 1. 正しい
腺 癌
腺癌は腺腔をつくる上皮性の悪性腫瘍で、気管支末梢が好発部位です。肺野の末梢側に小結節として見つかることが多く(辺縁が不整で、とげ状の突出〈スピキュラ〉や胸膜のひきこみを伴うのが典型)、女性や非喫煙者にも多くみられます。肺癌の組織型の中で最も頻度が高いことから、この症例で最も可能性が高いと判断できます。
✗ 2. 誤り
小細胞癌
小細胞癌は分化傾向に乏しく、教科書の3分類では未分化癌のグループに含めて扱われる癌で、肺門側(中枢側)にできやすく多量喫煙者に多いのが特徴です。未分化癌は増殖が盛んで転移も早く、発見時に2cm大の孤立した末梢結節にとどまっていることは少ないため、本問では優先されません。
✗ 3. 誤り
大細胞癌
大細胞癌も分化傾向を示さない癌の一群で、発生部位としては末梢側に多くみられます。除外の理由は部位ではなく頻度で、肺癌全体に占める割合が小さいため、同じ末梢側の結節であれば「最も可能性が高い」のは腺癌のほうです。
✗ 4. 誤り
扁平上皮癌
扁平上皮癌は癌細胞が重層し角化を示す癌で、発生部位は皮膚・口腔・食道などのほか気管・気管支です。肺では太い気管支(肺門側)にできやすく、末梢側の小結節という本問の場面には合いません。
ポイント
  • 癌(上皮性の悪性腫瘍)は組織学的に扁平上皮癌・腺癌・未分化癌の3つに大別される。
  • 肺癌は臨床上、腺癌・扁平上皮癌・大細胞癌・小細胞癌の4型で扱う。病理学総論の3分類でいう未分化癌にあたるのが大細胞癌・小細胞癌(現在のWHO分類では、小細胞癌は神経内分泌腫瘍に分類される)で、小細胞癌とそれ以外(非小細胞癌)とで性質や治療方針が異なる。
  • 腺癌は腺腔(分泌物を出す管)をつくる癌で、肺では気管支末梢が好発部位。末梢側の結節ならまず腺癌を考える。
  • 扁平上皮癌は気管・気管支から発生し、肺門側(中枢側)に多い。小細胞癌も肺門側に多い。
  • 未分化癌(退形成癌)は扁平上皮や腺上皮への分化を示さず、増殖が盛んで転移も早い。
  • 重要用語: 腺癌, 扁平上皮癌, 未分化癌, 上皮性腫瘍, 気管支末梢 を正確に理解しておくこと。
比較表
組織型できやすい場所特徴
腺癌気管支末梢(末梢側)腺腔をつくり粘液を分泌する。肺癌で最も頻度が高い
扁平上皮癌気管・太い気管支(肺門側)癌細胞が重層し角化を示す。喫煙との関連が強い
小細胞癌肺門側(中枢側)3分類では未分化癌のグループ(現在のWHO分類では神経内分泌腫瘍)。増殖が速く転移しやすい
大細胞癌末梢側が多い分化傾向を示さない。占める割合は小さい
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