学習トップ / 理由で解く 臨床医学各論 / 第11章 ▸ F. 認知症性疾患 / Q27H077
理由で解く 臨床医学各論
夜間にくり返す幻視(人や子どもが見える)、半年で進んだ動作の鈍さ、あとから現れた物忘れという並びは、レビー小体型認知症を強く思わせます。ここでいう動作の鈍さは、筋強剛と寡動を柱とするパーキンソニズムによるものです。
筋強剛(固縮)・振戦・寡動という運動症状のまとまりをパーキンソニズムと呼びます。最も多い原因はパーキンソン病で、黒質線条体系の変性によるドパミンの減少を背景に、この3主徴と姿勢保持障害を示します。同じ運動症状はパーキンソン病以外でも現れ、それらをまとめてパーキンソン症候群と呼びます。脳血管障害や薬剤などで起こる二次性(症候性)のものと、レビー小体型認知症・多系統萎縮症・進行性核上性麻痺といった神経変性疾患によるものがあります。なかでもレビー小体型認知症は、パーキンソン病と同じくレビー小体がたまる病気です。本症例は「力が出ない」のではなく「動き出しが遅く、動作全体が緩慢になる」形で進んでおり、これは筋力そのものの低下でも、感覚の障害でもありません。レビー小体型認知症では、幻視・パーキンソニズム・認知機能の低下がそろって現れ、物忘れよりも幻視や動作の鈍さが先に立つことが少なくない点が、物忘れから始まることが多いアルツハイマー型との違いになります。
| 動きにくさの型 | おもな原因 | 特徴 |
|---|---|---|
| パーキンソニズム(寡動・筋強剛) | パーキンソン病、レビー小体型認知症、薬剤性 など | 動作の開始が遅く動きが小さい。歯車現象・鉛管現象、小刻み歩行 |
| 筋力低下 | 上位運動ニューロン(錐体路)障害、下位運動ニューロン障害、筋疾患、廃用 | 力が出ない。下位運動ニューロン障害や筋疾患では筋萎縮を伴うことがある |
| 失行(歩行失行など) | 正常圧水頭症、大脳(前頭葉・頭頂葉)の病変(脳血管障害など) | 麻痺がないのに動作が組み立てられない。失行は高次脳機能障害の一つ。正常圧水頭症では歩行障害に尿失禁を伴う |
| 深部感覚障害 | 後索の障害 | 位置覚が失われ、閉眼や暗所でふらつきが強まる |
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