学習トップ / 理由で解く 臨床医学各論 / 第11章 ▸ F. 認知症性疾患 / Q27H078
理由で解く 臨床医学各論
同じ症例の続きで、疑っている病態を裏づける所見を一つ選ぶ問題です。幻視とパーキンソニズムに認知機能の低下が重なるレビー小体型認知症では、認知機能が日によって・時間によって大きく揺れる「変動」も中核的特徴の一つであり、その有無を確認することで診断がさらに裏づけられます。
認知症では、記憶障害・見当識障害・実行機能障害といった中核症状に加え、妄想・幻覚・徘徊・夜間せん妄などの行動・心理症状(BPSD)が現れます(幻覚は一般にBPSDに数えますが、レビー小体型認知症の幻視はくり返し現れて診断の手がかりになる点が違います)。どの症状が前に出るか・どのように進むかは原因疾患ごとに違い、アルツハイマー型では物盗られ妄想がしばしばみられ、血管性では脳梗塞・脳出血が起こるたびに階段状に悪化し、前頭側頭型では抑えのきかない行動が目立ちます。これに対し本症例のように幻視と動作の鈍さが先行する型では、しっかり話せる時間帯とぼんやりして反応が鈍い時間帯が同じ日のうちに入れ替わる変動を確認します。なお、せん妄も日内変動と幻視を示しますが、数時間から数日で急性に始まり、意識のくもりを伴う一過性の状態である点が異なります。本症例は1年をかけて幻視・動作の鈍さ・物忘れが順に加わる慢性の経過であり、その中で認知機能が揺れるかどうかを、介護者に「日によって・時間によって受け答えの様子が変わりますか」と尋ねて確かめます。
| 原因疾患 | 目立つ症状 | 進み方 |
|---|---|---|
| レビー小体型認知症 | 幻視、パーキンソニズム、認知機能の日内変動、レム期睡眠行動異常症 | 緩やかに進行 |
| アルツハイマー型認知症 | 記憶障害が先行、物盗られ妄想 | 緩やかに進行 |
| 血管性認知症 | 脳梗塞・脳出血に伴う神経症状 | 発作のたびに階段状に悪化 |
| 前頭側頭型認知症 | 人格変化、抑えのきかない行動(脱抑制) | 緩やかに進行 |
| せん妄(認知症とは別の状態) | 意識のくもり、幻視、日内変動 | 数時間から数日で急性に始まり一過性 |
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