学習トップ理由で解く 臨床医学各論第11章 ▸ F. 認知症性疾患 / Q1147

理由で解く 臨床医学各論

Q1147 神経疾患

出典:鍼灸 第20回(2012) 問題76
問題
アルツハイマー病で適切な記述はどれか。
選択肢
1 大脳皮質に老人斑を認める。
2 病初期からゲルストマン症候群がみられる。
3 片麻痺がみられる。
4 まだら認知症が特徴的である。
解答
正解1(大脳皮質に老人斑を認める。)
解説
✓ 1. 正しい
大脳皮質に老人斑を認める。
アルツハイマー病は大脳皮質にアミロイドβ蛋白の沈着による老人斑(senile plaque)と、タウ蛋白の異常リン酸化によるアルツハイマー神経原線維変化(neurofibrillary tangle)を認める神経変性疾患である。 これらが病理学的診断の根拠となる。CT/MRIではびまん性の脳萎縮、とくに側頭葉内側面(海馬)の萎縮が特徴的である。
✗ 2. 誤り
病初期からゲルストマン症候群がみられる。
ゲルストマン症候群(手指失認、左右失認、失算、失書)は優位半球の頭頂葉角回領域の病変で生じるが、アルツハイマー病の病初期の特徴ではない。 アルツハイマー病では物忘れ(記憶障害)、失見当識(時・場所)が初期症状である。ゲルストマン症候群は進行期に出現しうる。
✗ 3. 誤り
片麻痺がみられる。
片麻痺は脳血管障害による局所症状であり、アルツハイマー病では通常みられない。 アルツハイマー病は大脳皮質のびまん性変性であり、運動麻痺は通常伴わない(末期に小刻み歩行やパーキンソン様姿勢が出現することはある)。
✗ 4. 誤り
まだら認知症が特徴的である。
まだら認知症(一部の知的機能は保たれる)は脳血管性認知症の特徴であり、アルツハイマー病では全般性の認知機能低下がみられる。 記憶、言語、実行機能などが均等に低下し、人格反応は比較的保たれるが「まだら」のパターンにはならない。
ポイント
  • アルツハイマー病の病理学的特徴は老人斑(アミロイドβ蛋白)と神経原線維変化(タウ蛋白)である。
  • 臨床的特徴は徐々に進行する記憶障害、失見当識、全般性認知機能低下である。
  • 脳血管性認知症との鑑別では、まだら認知症、階段状悪化、片麻痺はアルツハイマー病にはみられない。
  • 重要用語: 老人斑, 神経原線維変化, アミロイドβ蛋白, タウ蛋白 を正確に理解しておくこと。
比較表
項目 アルツハイマー病 脳血管性認知症
病理所見 老人斑・神経原線維変化 多発性脳梗塞・白質病変
進行パターン 緩徐・連続的 階段状悪化
認知機能低下 全般性(均等に低下) まだら認知症(ムラあり)
運動症状 末期まで通常なし 片麻痺・錐体路徴候あり
感情障害 病識低下・取り繕い 感情失禁
解説画像
鍼灸 第20回(2012) 問題76|アルツハイマー病で適切な記述はどれか。 解説図
鍼灸 第20回(2012) 問題76|アルツハイマー病で適切な記述はどれか。
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