学習トップ理由で解く 臨床医学各論第11章 ▸ A. 脳血管疾患 / Q1088

理由で解く 臨床医学各論

Q1088 神経疾患

出典:鍼灸 第34回(2026) 問題86
問題
「66歳の男性。右前頭葉に脳出血を発症し保存治療中。身体麻痺は認められず排泄動作は自立しているが、トイレに行くこと自体を忘れて失禁することがある。」家族が患者に行う対応として最も適切なのはどれか。
選択肢
1 本人の自主性を尊重して見守る。
2 繰り返し口頭で指示する。
3 手順を見える形で示して一緒に確認する。
4 刺激を与えるため毎日予定を変える。
解答
正解3(手順を見える形で示して一緒に確認する)
解説
✗ 1. 誤り
本人の自主性を尊重して見守る。
遂行機能障害の患者に対して自主性を尊重して見守るだけでは不十分である。前頭葉損傷による遂行機能障害では、自発的に行動を計画・開始することが困難であるため、見守るだけでは行動が起こらない。適切な外的手がかり(キュー)の提供が必要である。
✗ 2. 誤り
繰り返し口頭で指示する。
繰り返し口頭で指示するだけでは遂行機能障害の改善に有効ではない。口頭指示は一時的には効果があるが、前頭葉機能障害ではワーキングメモリも低下していることが多く、口頭の情報は保持されにくい。視覚的な手がかりの方が効果的である。
✓ 3. 正しい
手順を見える形で示して一緒に確認する。
手順を見える形で示して一緒に確認することが最も適切な対応である。遂行機能障害に対しては、行動の手順を視覚化(チェックリスト・貼り紙・写真など)して外的な代償手段を提供することが効果的である。見える形での手順提示により、自発的な行動開始が困難な状態を補うことができる。一緒に確認することで理解と定着を促進する。
✗ 4. 誤り
刺激を与えるため毎日予定を変える。
毎日予定を変えることは遂行機能障害の患者にとって逆効果である。前頭葉機能障害では新しい状況への柔軟な対応が困難であるため、日課を一定に保ち(ルーティン化)、予測可能な環境を整えることが重要である。毎日予定を変えると混乱が増大する。
ポイント
  • 遂行機能障害には視覚的な手順提示(チェックリスト・貼り紙等)が効果的である
  • 口頭指示のみでは情報が保持されにくく、視覚化して外的代償手段を活用することが重要である
  • 日課のルーティン化が重要で、毎日予定を変えることは混乱を増大させ逆効果となる
  • 家族の適切な関わり方が患者のADL維持・向上に直結するため、指導が不可欠である
  • 重要用語: 視覚化, 外的代償手段, ルーティン化, 遂行機能障害のリハビリ を正確に理解しておくこと。
比較表
対応方法 適切性 理由
自主性を尊重して見守る 不適切 自発的行動開始が困難なため放置は不十分
繰り返し口頭で指示 不十分 ワーキングメモリ低下で口頭情報は保持困難
手順の視覚化+確認 最適 外的代償手段により行動開始を補助できる
毎日予定を変える 逆効果 柔軟な対応が困難でありルーティン化が重要
解説画像
鍼灸 第34回(2026) 問題86|「66歳の男性。右前頭葉に脳出血を発症し保存治療中。身体麻痺は認められず排泄動作は自立しているが、トイレに行くこと自体を忘れて失禁することがある。」家族が患者に行う対応として最も適切なのはどれか。 解説図
鍼灸 第34回(2026) 問題86|「66歳の男性。右前頭葉に脳出血を発症し保存治療中。身体麻痺は認められず排泄動作は自立しているが、トイレに行くこと自体を忘れて失禁することがある。」家族が患者に行う対応として最も適切なのはどれか。
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