学習トップ理由で解く 臨床医学各論第11章 ▸ A. 脳血管疾患 / Q1087

理由で解く 臨床医学各論

Q1087 神経疾患

出典:鍼灸 第34回(2026) 問題85
問題
「66歳の男性。右前頭葉に脳出血を発症し保存治療中。身体麻痺は認められず排泄動作は自立しているが、トイレに行くこと自体を忘れて失禁することがある。」高次脳機能障害として最も考えられるのはどれか。
選択肢
1 半側空間無視
2 遂行機能障害
3 身体失認
4 観念失行
解答
正解2(遂行機能障害)
解説
✗ 1. 誤り
半側空間無視
半側空間無視は主に右半球(特に頭頂葉)の損傷でみられ、左側の空間や刺激に注意を向けられなくなる障害である。本症例は右前頭葉の出血であり、トイレに行くこと自体を忘れるという症状は半側空間無視では説明できない。
✓ 2. 正しい
遂行機能障害
遂行機能障害が最も考えられる。前頭葉は計画立案・判断・意思決定・目的行動の遂行など高次の認知機能を担っており、右前頭葉の損傷により遂行機能障害が出現する。本症例では排泄動作自体は自立しているが、「トイレに行くこと自体を忘れて失禁する」という症状は、目的行動の計画・開始ができない遂行機能障害の典型的な表れである。
✗ 3. 誤り
身体失認
身体失認は自分の身体の一部を認識できない障害であり、主に右頭頂葉の損傷でみられる。本症例の「トイレに行くことを忘れる」という症状は身体失認では説明できない。
✗ 4. 誤り
観念失行
観念失行は複数の動作を正しい順序で遂行できなくなる障害であり、左頭頂葉の損傷でみられることが多い。本症例では排泄動作自体は自立しており、動作の遂行障害ではなく、行動の開始(計画)の障害であるため、観念失行よりも遂行機能障害が適切である。
ポイント
  • 前頭葉損傷では遂行機能障害が出現し、計画立案・目的行動の開始が困難になる
  • 身体動作は可能でも「行動を起こすこと自体を忘れる」のが遂行機能障害の特徴である
  • 半側空間無視は頭頂葉(右半球)、観念失行は左頭頂葉の障害に対応する
  • 高次脳機能障害の種類と責任病巣の対応関係を把握しておくことが重要である
  • 重要用語: 遂行機能障害, 前頭葉, 計画立案, 高次脳機能障害 を正確に理解しておくこと。
比較表
高次脳機能障害 主な責任病巣 主な症状
遂行機能障害 前頭葉 計画立案・目的行動の開始困難
半側空間無視 右頭頂葉 左側空間への注意欠如
身体失認 右頭頂葉 自己の身体部位の認識障害
観念失行 左頭頂葉 複数動作の順序障害
失語症(運動性) 左前頭葉(ブローカ野) 発話の障害
解説画像
鍼灸 第34回(2026) 問題85|「66歳の男性。右前頭葉に脳出血を発症し保存治療中。身体麻痺は認められず排泄動作は自立しているが、トイレに行くこと自体を忘れて失禁することがある。」高次脳機能障害として最も考えられるのはどれか。 解説図
鍼灸 第34回(2026) 問題85|「66歳の男性。右前頭葉に脳出血を発症し保存治療中。身体麻痺は認められず排泄動作は自立しているが、トイレに行くこと自体を忘れて失禁することがある。」高次脳機能障害として最も考えられるのはどれか。
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