学習トップ理由で解く 臨床医学各論第11章 ▸ A. 脳血管疾患 / Q1084

理由で解く 臨床医学各論

Q1084 神経疾患

出典:鍼灸 第31回(2023) 問題83
問題
「68歳の女性。右利き。右片麻痺を生じ病院に救急搬送された。MRI検査にて左中大脳動脈領域の脳塞と診断され、保存的治療を受けた。」本患者の症状で最もみられるのはどれか。
選択肢
1 失調症
2 失語症
3 左半側空間無視
4 注意障害
解答
正解2(失語症)
解説
✗ 1. 誤り
失調症
失調症(運動失調)は小脳やその関連経路の障害でみられる症状であり、体幹失調・四肢の測定障害・企図振戦・失調性歩行などを呈する。左中大脳動脈領域の脳梗塞の典型的症状ではない。
✓ 2. 正しい
失語症
右利きの患者では約90%以上で左大脳半球が言語の優位半球である。左中大脳動脈領域にはブローカ野(前頭葉の運動性言語中枢)やウェルニッケ野(側頭葉の感覚性言語中枢)が存在するため、この領域の脳梗塞では失語症がもっとも高頻度にみられる。中大脳動脈の閉塞では対側の片麻痺に加え、優位半球では失語、大脳皮質症状が出現する。本症例で右片麻痺を生じていることも左半球障害を裏付けている。
✗ 3. 誤り
左半側空間無視
左半側空間無視は非優位半球(右半球)の頭頂葉障害で生じる症状である。本症例は左半球の障害であるため、左半側空間無視は出現しない。仮に右半球障害であれば左半側空間無視がみられる可能性がある。
✗ 4. 誤り
注意障害
注意障害はびまん性の脳損傷や右半球損傷でより顕著にみられることが多い。左半球損傷の本症例では、失語症のほうがはるかに特徴的かつ高頻度にみられる症状である。
ポイント
  • 右利きの患者の左中大脳動脈領域の脳梗塞では失語症が最も特徴的
  • 言語中枢(ブローカ野・ウェルニッケ野)は優位半球(右利きでは左半球)に存在
  • 左半側空間無視は右半球損傷で生じるため、左半球損傷では出現しない
  • 重要用語: 失語症, 優位半球, ブローカ野, ウェルニッケ野, 半側空間無視 を正確に理解しておくこと。
比較表
障害半球 主な高次脳機能障害 特徴的症状
優位半球(左半球) 失語症、失行、ゲルストマン症候群 運動性・感覚性失語、失算、失読、失書
非優位半球(右半球) 半側空間無視、病態失認、着衣失行 左半側の無視、病態への無関心
解説画像
鍼灸 第31回(2023) 問題83|「68歳の女性。右利き。右片麻痺を生じ病院に救急搬送された。MRI検査にて左中大脳動脈領域の脳塞と診断され、保存的治療を受けた。」本患者の症状で最もみられるのはどれか。 解説図
鍼灸 第31回(2023) 問題83|「68歳の女性。右利き。右片麻痺を生じ病院に救急搬送された。MRI検査にて左中大脳動脈領域の脳塞と診断され、保存的治療を受けた。」本患者の症状で最もみられるのはどれか。
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