学習トップ理由で解く 臨床医学各論第11章 ▸ A. 脳血管疾患 / Q1051

理由で解く 臨床医学各論

Q1051 神経疾患

出典:鍼灸 第30回(2022) 問題83
問題
「65歳の男性。左片麻痺と意識障害を生じた。頭部CT検査にて右被殻出血と診断され、保存的治療を受けた。リハビリテーションの評価において視覚の見落としが著明であった。」本患者の高次脳機能障害はどれか。
選択肢
1 失行
2 注意障害
3 記憶障害
4 遂行機能障害
解答
正解2(注意障害)
解説
✗ 1. 誤り
失行
失行は運動機能や感覚機能に問題がないにもかかわらず、学習された目的的な動作(衣服の着脱、道具の使用など)が遂行できない状態である。観念失行や観念運動失行、着衣失行などに分類される。本症例の「視覚の見落とし」とは異なる高次脳機能障害である。
✓ 2. 正しい
注意障害
本症例では「視覚の見落としが著明」という症状から注意障害、特に半側空間無視が疑われる。右被殻出血により右大脳半球が損傷されると、左側の空間に対する注意が障害され、左側の視覚刺激を認識できなくなる。半側空間無視は注意障害の代表的な症状であり、食事の際に左側の食べ物を残す、車椅子で左側の壁にぶつかる、左側の文字を読み飛ばすなどの日常生活上の問題が生じる。
✗ 3. 誤り
記憶障害
記憶障害は新しい情報の記銘(覚える)、保持、想起(思い出す)が困難になる状態である。海馬や側頭葉内側面の損傷で生じやすく、前向性健忘と逆向性健忘に分類される。本症例の「視覚の見落とし」とは異なる障害である。
✗ 4. 誤り
遂行機能障害
遂行機能障害は目標設定、計画立案、実行、修正といった一連の過程が障害される状態である。主に前頭葉損傷で生じ、日常生活の段取りが立てられなくなるなどの問題を引き起こす。本症例の主訴とは異なる。
ポイント
  • 右大脳半球損傷では左半側空間無視が生じやすく、これは注意障害の一種である
  • 左大脳半球損傷でも右半側空間無視は生じうるが、右半球損傷に比べて頻度が低く症状も軽度である
  • 半側空間無視の患者は自分の障害に気づかないこと(病態失認)が多く、リハビリテーションを困難にする要因となる
  • 重要用語: 注意障害と半側空間無視の病態 を正確に理解しておくこと。
解説画像
鍼灸 第30回(2022) 問題83|「65歳の男性。左片麻痺と意識障害を生じた。頭部CT検査にて右被殻出血と診断され、保存的治療を受けた。リハビリテーションの評価において視覚の見落としが著明であった。」本患者の高次脳機能障害はどれか。 解説図
鍼灸 第30回(2022) 問題83|「65歳の男性。左片麻痺と意識障害を生じた。頭部CT検査にて右被殻出血と診断され、保存的治療を受けた。リハビリテーションの評価において視覚の見落としが著明であった。」本患者の高次脳機能障害はどれか。
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