学習トップ理由で解く 臨床医学各論第9章 ▸ C. 動脈疾患 / Q0956

理由で解く 臨床医学各論

Q0956 循環器疾患

出典:鍼灸 第19回(2011) 問題80
問題
「78歳の男性。5年前に高血圧を指摘されたが、自覚症状がないため放置していた。早朝、安静時に突然強い胸背部痛が出現し、救急搬送された。その際に胸部エックス線検査で上縦隔の著明な拡大を認めたが、心電図上有意な変化はみられなかった。」本疾患による合併症はどれか。
選択肢
1 気胸
2 間質性肺炎
3 大動脈弁狭窄症
4 心タンポナーデ
解答
正解4(心タンポナーデ)
解説
✗ 1. 誤り
気胸
気胸は肺胞の破裂や胸壁の損傷によって胸腔内に空気が貯留した状態であり、大動脈解離の直接的な合併症ではない。気胸では呼吸困難や患側の呼吸音減弱がみられるが、大動脈解離とは病態が異なる。
✗ 2. 誤り
間質性肺炎
間質性肺炎は肺の間質に炎症が生じる疾患群であり、薬剤性や膠原病関連など様々な原因がある。大動脈解離の合併症として間質性肺炎が生じることはなく、両者に直接的関連はない。
✗ 3. 誤り
大動脈弁狭窄症
大動脈弁狭窄症は弁の石灰化変性やリウマチ性変化などにより大動脈弁口が狭窄する疾患であり、大動脈解離の合併症ではない。ただし、大動脈解離が上行大動脈に及ぶと大動脈弁閉鎖不全症を合併することがあり、この点の鑑別が重要である。
✓ 4. 正しい
心タンポナーデ
大動脈解離(特にStanford A型)では、解離が上行大動脈に及ぶと大動脈壁から心嚢腔内に出血し、心嚢液が急速に貯留して心タンポナーデを引き起こす。心タンポナーデでは心室の拡張が障害されて心拍出量が急激に低下し、ショックや突然死に至る危険がある。急性A型解離の発症初期における心タンポナーデによる突然死は高率である。
ポイント
  • Stanford A型大動脈解離の重篤な合併症として心タンポナーデが最も重要であり、発症初期の突然死の主因となる。合併症として他に大動脈弁閉鎖不全症、臓器虚血(脳・腎・腸管など)もある。
  • 大動脈解離で合併しうるのは大動脈弁「閉鎖不全症」であり、「狭窄症」ではない点に注意。解離により弁輪が拡大し弁の接合不良が生じるためである。
  • Stanford A型(上行大動脈に解離が及ぶ)は緊急手術適応、B型(弓部より遠位のみ)は保存的治療が原則であり、治療方針の違いを把握しておく。
  • 重要用語: 心タンポナーデ, Stanford A型, 大動脈弁閉鎖不全症 を正確に理解しておくこと。
比較表
大動脈解離の主な合併症 機序 症状
心タンポナーデ 心嚢内出血 ショック・突然死
大動脈弁閉鎖不全症 弁輪拡大 拡張期雑音・心不全
臓器虚血 分枝動脈閉塞 脳梗塞・腎不全など
破裂 大動脈壁破綻 出血性ショック
解説画像
鍼灸 第19回(2011) 問題80|「78歳の男性。5年前に高血圧を指摘されたが、自覚症状がないため放置していた。早朝、安静時に突然強い胸背部痛が出現し、救急搬送された。その際に胸部エックス線検査で上縦隔の著明な拡大を認めたが、心電図上有意な変化はみられなかった。」本疾患による合併症はどれか。 解説図
鍼灸 第19回(2011) 問題80|「78歳の男性。5年前に高血圧を指摘されたが、自覚症状がないため放置していた。早朝、安静時に突然強い胸背部痛が出現し、救急搬送された。その際に胸部エックス線検査で上縦隔の著明な拡大を認めたが、心電図上有意な変化はみられなかった。」本疾患による合併症はどれか。
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