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理由で解く 臨床医学各論

Q0929 循環器疾患

出典:あマ指 第26回(2018) 問題66
問題
心筋梗塞について正しいのはどれか。
選択肢
1 無痛性心筋梗塞は糖尿病患者に多い。
2 心筋梗塞に伴う胸痛は通常5分以内である。
3 心電図で最初に出現する所見は異常Q波である。
4 発症時白血球数は減少する。
解答
正解1(無痛性心筋梗塞は糖尿病患者に多い)
解説
✓ 1. 正しい
無痛性心筋梗塞は糖尿病患者に多い。
糖尿病患者では長期間の高血糖により自律神経を含む末梢神経障害が進行し、心臓の求心性神経(痛覚伝導線維)も障害される。そのため心筋虚血が生じても胸痛を自覚しにくく、無痛性心筋梗塞(silent myocardial infarction)の頻度が高い。糖尿病患者の心筋梗塞のうち約20〜40%が無痛性とされ、発見が遅れて重症化しやすいため臨床上極めて重要である。
✗ 2. 誤り
心筋梗塞に伴う胸痛は通常5分以内である。
心筋梗塞の胸痛は通常30分以上持続する激烈な前胸部圧迫感・絞扼感であり、ニトログリセリン(NTG)舌下でも軽減しない。5分以内で消失するのは労作性狭心症の特徴であり、狭心症では冠動脈の一過性虚血のため発作は短時間で寛解する。この持続時間の違い(狭心症=数分、心筋梗塞=30分以上)は鑑別の重要なポイントである。
✗ 3. 誤り
心電図で最初に出現する所見は異常Q波である。
心筋梗塞における心電図変化の時間的推移は、超急性期T波(尖鋭化・増高)→ST上昇(数時間以内)→異常Q波(数時間〜数日後)→冠性T波(陰性T波)の順に出現する。最初に出現するのはST上昇(またはその前の超急性期T波)であり、異常Q波は心筋壊死が完成した段階で出現する遅発性の所見である。
✗ 4. 誤り
発症時白血球数は減少する。
心筋梗塞発症時には、心筋壊死に対する急性炎症反応として白血球数は増加する。発症後数時間以内に白血球が上昇し、1〜2週間で正常化する。また、CRPの上昇、赤沈亢進、CK(CK-MB)・トロポニンなどの心筋逸脱酵素の上昇もみられる。白血球が減少するのではなく増加することを正確に覚える。
ポイント
  • 糖尿病性神経障害により痛覚が鈍麻するため、糖尿病患者では無痛性心筋梗塞のリスクが高い。発見遅延による予後悪化に注意。
  • 胸痛持続時間:狭心症は数分以内、心筋梗塞は30分以上。NTGの効果:狭心症では有効、心筋梗塞では無効。
  • 心電図変化の時間的順序:超急性期T波→ST上昇→異常Q波→陰性T波。異常Q波は壊死の完成を意味する。
  • 重要用語: 無痛性心筋梗塞、糖尿病性神経障害、ST上昇、異常Q波、心筋逸脱酵素 を正確に理解しておくこと。
比較表
項目 狭心症 心筋梗塞
胸痛持続時間 数分以内(通常5分以下) 30分以上
NTG舌下 有効 無効
心電図 ST低下(発作時) ST上昇→異常Q波
心筋逸脱酵素 正常 上昇(CK-MB、トロポニン)
心筋壊死 なし あり
解説画像
あマ指 第26回(2018) 問題66|心筋梗塞について正しいのはどれか。 解説図
あマ指 第26回(2018) 問題66|心筋梗塞について正しいのはどれか。
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