学習トップ理由で解く 臨床医学各論第8章 ▸ G. 脊髄損傷 / Q0798

理由で解く 臨床医学各論

Q0798 整形外科疾患

出典:鍼灸 第29回(2021) 問題86
問題
「75歳の男性。脚立から落下し、手足が動かなくなった。非骨傷性脊髄損傷と診断され入院した。肘関節の屈曲は可能、手関節の伸展と屈曲および肘関節の伸展は不能であった。」退院時には屋内歩行が可能となったが、箸がうまく使えなかった。退院の準備として正しいのはどれか。
選択肢
1 長下肢装具の作製
2 意思伝達装置の導入
3 歩行ロボットの導入
4 食事に対する自助具の作製
解答
正解4(食事に対する自助具の作製)
解説
✗ 1. 誤り
長下肢装具の作製
長下肢装具は膝関節の支持が必要な重度の下肢麻痺に用いる装具であるが、本症例は退院時に屋内歩行が可能なレベルまで回復している。歩行が自立している患者に長下肢装具は不要であり、残存する障害に即した支援を優先すべきである。
✗ 2. 誤り
意思伝達装置の導入
意思伝達装置はALS(筋萎縮性側索硬化症)などで発語や筆記によるコミュニケーションが困難な場合に導入するものである。本症例では言語機能やコミュニケーション能力の障害は記述されておらず、意思伝達装置の適応ではない。
✗ 3. 誤り
歩行ロボットの導入
歩行ロボットは重度の下肢麻痺により自力歩行が困難な患者の歩行訓練や歩行支援に用いるものである。本症例は屋内歩行が可能なレベルまで回復しているため、歩行ロボットの導入は不要であり、現在の残存障害への対応が優先される。
✓ 4. 正しい
食事に対する自助具の作製
本症例は屋内歩行が可能なレベルまで回復したが、箸がうまく使えないという手指の巧緻運動障害が残存している。これは頸髄損傷後の手指機能障害によるものであり、退院後の食事動作の自立を支援するために食事に対する自助具の作製が最も適切である。具体的には太い柄のスプーンやフォーク、ユニバーサルカフ(手に装着しスプーンなどを差し込む補助具)、滑り止めマット付きの食器などが用いられる。退院準備では残存する障害に対して適切な自助具を準備し、ADLの自立を図ることが最も重要である。
ポイント
  • 脊髄損傷後のリハビリテーションでは残存機能を最大限に活用し、ADLの自立を図ることが最重要目標である
  • 手指巧緻運動障害に対しては自助具(太柄スプーン、ユニバーサルカフなど)で食事動作の自立を支援する
  • 退院準備では現在の残存障害に即した適切な支援を選択することが原則であり、不要な装具・機器は導入しない
  • 重要用語: 自助具、ADL自立支援 を正確に理解しておくこと。
比較表
退院準備の選択肢 適応となる状態 本症例への適否
長下肢装具 膝関節支持が必要な重度下肢麻痺 不要(歩行自立)
意思伝達装置 発語・筆記困難 不要(コミュニケーション障害なし)
歩行ロボット 自力歩行困難 不要(歩行自立)
食事用自助具 手指巧緻運動障害 適切(箸が使えない)
解説画像
鍼灸 第29回(2021) 問題86|「75歳の男性。脚立から落下し、手足が動かなくなった。非骨傷性脊髄損傷と診断され入院した。肘関節の屈曲は可能、手関節の伸展と屈曲および肘関節の伸展は不能であった。」退院時には屋内歩行が可能となったが、箸がうまく使えなかった。退院の準備として正しいのはどれか。 解説図
鍼灸 第29回(2021) 問題86|「75歳の男性。脚立から落下し、手足が動かなくなった。非骨傷性脊髄損傷と診断され入院した。肘関節の屈曲は可能、手関節の伸展と屈曲および肘関節の伸展は不能であった。」退院時には屋内歩行が可能となったが、箸がうまく使えなかった。退院の準備として正しいのはどれか。
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