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理由で解く 臨床医学各論

Q0768 整形外科疾患

出典:あマ指 第24回(2016) 問題72
問題
「45歳の男性。腰から殿部にかけての痛みを訴える。腰を反らせると痛みは増悪し、大腿部に放散する。前屈では痛みを生じない。神経学的異常所見はみられない。」本疾患で最も考えられる病態はどれか。
選択肢
1 椎間板髄核の脱出
2 脊柱管の狭窄
3 椎間関節の炎症
4 前縦靭帯の肥厚
解答
正解3(椎間関節の炎症)
解説
✗ 1. 誤り
椎間板髄核の脱出
椎間板髄核の脱出(椎間板ヘルニア)では、前屈時に椎間板内圧が上昇して髄核が後方に突出し、神経根を圧迫するため疼痛が増悪する。本症例では前屈で痛みが生じないことからヘルニアの可能性は低い。また、ヘルニアではSLRテスト陽性など神経学的異常所見を伴うのが一般的であり、本症例の所見と矛盾する。
✗ 2. 誤り
脊柱管の狭窄
脊柱管の狭窄(腰部脊柱管狭窄症)では、歩行時に増悪し休息で軽快する間欠性跛行が特徴的症状である。体幹の前屈で症状が改善し後屈で悪化する点は共通するが、本症例では間欠性跛行の記載がなく、脊柱管狭窄症は通常50歳以上の高齢者に多い点でも合致しない。
✓ 3. 正しい
椎間関節の炎症
椎間関節の炎症(椎間関節症)は、腰椎の後屈(伸展)時に椎間関節が圧迫されて疼痛が増悪するのが特徴である。前屈では椎間関節が開大するため痛みが生じない。本症例の45歳男性で後屈時の増悪、前屈で無痛、神経学的異常なしという所見は、典型的な椎間関節症のパターンに合致する。疼痛は殿部から大腿部に放散することがあるが、膝より遠位には及ばない。
✗ 4. 誤り
前縦靭帯の肥厚
前縦靭帯は椎体の前面に位置し、脊柱の前方を縦方向に連結する靭帯である。前縦靭帯の肥厚は加齢変化として生じるが、後屈時の疼痛増悪の主因とはなりにくい。臨床的に前縦靭帯の肥厚が症状の原因として問題になることはまれである。
ポイント
  • 後屈で増悪し前屈で軽減する腰痛は椎間関節症を示唆し、前屈で増悪する腰痛は椎間板ヘルニアを示唆する
  • 椎間関節症では神経学的異常所見が認められないことが多く、ヘルニアや脊柱管狭窄症との重要な鑑別点となる
  • 椎間関節は脊柱の後方要素であり、後屈時に関節面が密着して圧迫力が増大するため疼痛が誘発される
  • 重要用語: 椎間関節症, 後屈時増悪, 椎間板ヘルニア, 前屈時増悪 を正確に理解しておくこと。
比較表
疾患 増悪する動作 軽減する動作 神経学的異常
椎間関節症 後屈(伸展) 前屈(屈曲) なし
椎間板ヘルニア 前屈(屈曲) 後屈(伸展) あり(SLR陽性など)
腰部脊柱管狭窄症 後屈・歩行 前屈・座位 あり(間欠性跛行)
解説画像
あマ指 第24回(2016) 問題72|「45歳の男性。腰から殿部にかけての痛みを訴える。腰を反らせると痛みは増悪し、大腿部に放散する。前屈では痛みを生じない。神経学的異常所見はみられない。」本疾患で最も考えられる病態はどれか。 解説図
あマ指 第24回(2016) 問題72|「45歳の男性。腰から殿部にかけての痛みを訴える。腰を反らせると痛みは増悪し、大腿部に放散する。前屈では痛みを生じない。神経学的異常所見はみられない。」本疾患で最も考えられる病態はどれか。
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