学習トップ理由で解く 臨床医学各論第8章 ▸ E. 形態異常 / Q0733

理由で解く 臨床医学各論

Q0733 整形外科疾患

出典:鍼灸 第29回(2021) 問題49
問題
生後 3 か月の女児が乳児健康診査で股関節開排制限を指摘された。診察で□誤っているのはどれか。
選択肢
1 大腿部の皮膚のしわを観察する。
2 開排位での大転子と坐骨結節間の距離を診る。
3 ラックマン徴候を診る。
4 超音波断層像を診る。
解答
正解3(ラックマン徴候を診る。)
解説
✗ 1.
大腿部の皮膚のしわを観察する。
✗ 正しい。大腿部の皮膚のしわの左右差を観察することは発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)の重要な臨床所見であり、正しい診察法である。 鼠径部や大腿部のしわの非対称性は脱臼側の指標となり、健診での視診の基本項目である。脱臼側では大腿の皮膚のしわが深く、数も多くなる傾向がある。
✗ 2.
開排位での大転子と坐骨結節間の距離を診る。
✗ 正しい。開排位での大転子と坐骨結節間の距離の評価は股関節の安定性を診る方法として有用であり、発育性股関節形成不全の正しい診察法である。 脱臼があると大転子が上方に偏位するため距離が短縮し、左右差が生じる。テレスコープ徴候(上下に動く感覚)も参考になる。
✓ 3. 誤り
ラックマン徴候を診る。
ラックマン徴候(ラックマンテスト)は膝関節の前十字靭帯(ACL)損傷を評価する検査法であり、乳児の股関節開排制限(発育性股関節形成不全の疑い)の診察には全く不適切である。 膝関節を軽度屈曲位(20〜30度)で脛骨を前方に引き出す検査であり、股関節の検査とは無関係である。発育性股関節形成不全にはオルトラニテスト(整復クリック)やバーロウテスト(脱臼クリック)が用いられる。
✗ 4.
超音波断層像を診る。
✗ 正しい。超音波断層像は乳児の股関節評価に最も有用な画像検査であり、X線被曝なく骨頭の位置や臼蓋形成を評価できる正しい診察法である。 乳児期は大腿骨頭の骨化が不十分でX線では評価しにくいため、超音波検査が第一選択となる。グラーフ法により臼蓋被覆率を定量的に評価できる。
ポイント
  • 発育性股関節形成不全の乳児健診では、大腿部の皮膚のしわの左右差・開排制限・超音波検査が重要な評価項目である
  • ラックマンテストは膝前十字靭帯損傷の検査であり、股関節の検査ではない
  • 乳児の股関節評価には超音波検査が第一選択であり、X線は骨化が進む生後4〜6ヵ月以降に有用となる
  • 重要用語: 発育性股関節形成不全, ラックマンテスト(膝ACL), オルトラニテスト を正確に理解しておくこと。
比較表
診察項目 評価内容 発育性股関節形成不全との関連
大腿部の皮膚のしわ 左右差の観察 脱臼側でしわが多い・深い
開排制限 股関節外転角度の評価 脱臼側で開排制限あり
超音波検査 骨頭位置・臼蓋形成の評価 第一選択の画像検査
オルトラニテスト 整復時のクリック音 脱臼の整復を確認
ラックマンテスト 膝ACLの評価 股関節とは無関係
解説画像
鍼灸 第29回(2021) 問題49|生後 3 か月の女児が乳児健康診査で股関節開排制限を指摘された。診察で□誤っているのはどれか。 解説図
鍼灸 第29回(2021) 問題49|生後 3 か月の女児が乳児健康診査で股関節開排制限を指摘された。診察で□誤っているのはどれか。
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