学習トップ理由で解く 臨床医学各論第8章 ▸ E. 形態異常 / Q0717

理由で解く 臨床医学各論

Q0717 整形外科疾患

出典:鍼灸 第16回(2008) 問題71
問題
先天性股関節脱臼について誤っている記述はどれか。
選択肢
1 下肢の短縮がみられる。
2 大腿内側皮膚溝は非対称となる。
3 屈曲外転時にクリック音が触知される。
4 幼児期に腰椎後弯を認める。
解答
正解4(幼児期に腰椎後弯を認める)
解説
✗ 1.
下肢の短縮がみられる。
✗ 正しい。脱臼側の大腿骨頭が後外上方に転位しているため、見かけ上の下肢長が短縮する(アリス徴候)。両膝を立てた状態で膝の高さを比較すると患側が低くなる。実際の骨の長さは正常であるが、骨頭転位により下肢全体が短くみえる。この記述は正しい。
✗ 2.
大腿内側皮膚溝は非対称となる。
✗ 正しい。脱臼側の下肢は短縮・外旋位をとるため、大腿内側の皮膚溝が健側より深く数も多く長くなり左右非対称となる。乳児期健診で母親や医療者が気づきやすい視覚的特徴であり、スクリーニングの手がかりとなる。この記述は正しい。
✗ 3.
屈曲外転時にクリック音が触知される。
✗ 正しい。屈曲外転時に脱臼していた大腿骨頭が臼蓋に整復される際、コクッというクリック音と弾発感が触知される。これがオルトラニ徴候(Ortolani sign)であり、新生児期から乳児期早期の診断に極めて重要な身体所見である。この記述は正しい。
✓ 4. 誤り
幼児期に腰椎後弯を認める。
先天性股関節脱臼の幼児期には腰椎後弯ではなく腰椎前弯の増強がみられる。大腿骨頭が後上方に転位→骨盤前傾→代償的に腰椎前弯増強(反り腰)という機序であり、腰椎後弯は認められない。歩行開始後にはトレンデレンブルグ歩行も加わる。
ポイント
  • 「腰椎後弯→前弯の増強」の誤りは先天性股関節脱臼の頻出ひっかけであり、骨盤前傾→前弯増強の機序を理解する
  • 乳児期〜幼児期の所見として下肢短縮・皮膚溝非対称・クリック音の3つを確実に覚える
  • 問題722と同様の出題パターンであり、繰り返し問われる重要テーマである
  • 重要用語: 腰椎前弯増強, アリス徴候, オルトラニ徴候, 骨盤前傾 を正確に理解しておくこと。
比較表
所見 先天性股関節脱臼 誤りの選択肢
下肢長 短縮(アリス徴候) 延長は誤り
大腿皮膚溝 非対称(患側に多い) 対称は誤り
クリック音 あり(オルトラニ徴候) -
腰椎 前弯増強(反り腰) 後弯は誤り
大転子 高位 低位は誤り
解説画像
鍼灸 第16回(2008) 問題71|先天性股関節脱臼について誤っている記述はどれか。 解説図
鍼灸 第16回(2008) 問題71|先天性股関節脱臼について誤っている記述はどれか。
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