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理由で解く 臨床医学各論

Q0694 整形外科疾患

出典:鍼灸 第30回(2022) 問題85
問題
「70歳の男性。車を停車中に左上肢を伸ばし後部座席の物を取ったところ、肩峰部に激痛を感じた。肩関節部を他動的に外転させても、自力で外転位を保持できない。」診察所見で適切なのはどれか。
選択肢
1 ドロップアームテスト陽性
2 ペインフルアークサイン陽性
3 肩関節内旋筋力低下
4 肩関節内転筋力低下
解答
正解1(ドロップアームテスト陽性)
解説
✓ 1. 正しい
ドロップアームテスト陽性
ドロップアームテストは腱板断裂、特に棘上筋腱断裂の診断に用いられる検査法である。検者が患者の上肢を他動的に90度外転位まで挙上し、その位置で支えを外すと、腱板が断裂している場合は外転位を保持できずに上肢がストンと落下する(陽性)。本症例では「他動的に外転させても自力で外転位を保持できない」とあり、ドロップアームテスト陽性を示唆する所見である。70歳の高齢者が無理な姿勢で手を伸ばした際に、加齢変性のある腱板が断裂したと考えられる。
✗ 2. 誤り
ペインフルアークサイン陽性
ペインフルアークサイン(有痛弧徴候)は肩関節外転時、特に60〜120度の範囲で疼痛が出現する所見である。肩峰下インピンジメント症候群や腱板部分断裂で陽性となることが多い。本症例では疼痛に加えて「外転位の保持不能」が主な所見であり、完全断裂を示唆するドロップアームテストの方が適切である。
✗ 3. 誤り
肩関節内旋筋力低下
肩関節内旋筋力低下は腱板を構成する肩甲下筋の障害を示唆する所見である。本症例では肩関節外転の保持不能が問題であり、これは主に棘上筋の障害を示す。肩甲下筋は腱板前方部分を構成し、内旋作用を担当する。肩甲下筋の評価にはリフトオフテストが用いられる。
✗ 4. 誤り
肩関節内転筋力低下
肩関節内転筋力低下は大胸筋、広背筋、大円筋などの内転筋群の障害を示唆する所見である。本症例では外転位保持不能が主訴であり、外転作用を担う棘上筋・三角筋の障害が中心である。内転筋力の低下とは直接関連しない。
ポイント
  • 腱板は棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4筋で構成され、肩関節の安定化と運動に重要な役割を果たす
  • 棘上筋は外転運動の開始(0〜90度)に必須であり、断裂すると外転位保持が困難となりドロップアームテスト陽性となる
  • 高齢者の腱板は加齢性変性により脆弱化しており、日常動作での軽微な外力でも断裂する(50歳以上で頻度増加)
  • 重要用語: ドロップアームテストと腱板断裂の徒手検査法 を正確に理解しておくこと。
比較表
徒手検査法 対象 陽性所見
ドロップアームテスト 棘上筋腱断裂(完全断裂) 外転位保持不能で上肢が落下
ペインフルアークサイン 腱板部分断裂・インピンジメント 外転60〜120度で疼痛
リフトオフテスト 肩甲下筋断裂 背部に置いた手を離せない
外旋筋力テスト 棘下筋・小円筋断裂 外旋筋力の低下
解説画像
鍼灸 第30回(2022) 問題85|「70歳の男性。車を停車中に左上肢を伸ばし後部座席の物を取ったところ、肩峰部に激痛を感じた。肩関節部を他動的に外転させても、自力で外転位を保持できない。」診察所見で適切なのはどれか。 解説図
鍼灸 第30回(2022) 問題85|「70歳の男性。車を停車中に左上肢を伸ばし後部座席の物を取ったところ、肩峰部に激痛を感じた。肩関節部を他動的に外転させても、自力で外転位を保持できない。」診察所見で適切なのはどれか。
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