学習トップ理由で解く 臨床医学各論第7章 ▸ E. その他の代謝異常症 / Q0603

理由で解く 臨床医学各論

Q0603 代謝・栄養疾患

出典:あマ指 第27回(2019) 問題57
問題
多発ニューロパチーについて正しいのはどれか。
選択肢
1 運動障害が優位である。
2 デルマトームに沿った感覚障害を認める。
3 深部腱反射が亢進する。
4 アルコール多飲が原因となる。
解答
正解4(アルコール多飲が原因となる)
解説
✗ 1. 誤り
運動障害が優位である。
多発ニューロパチー(多発性末梢神経障害)では、一般的に感覚障害が運動障害より優位に出現する。初期症状として四肢遠位部のしびれ・異常感覚・疼痛がみられ、進行すると筋力低下や筋萎縮が加わる。ただし、ギラン・バレー症候群のように運動障害が優位となる例外的な末梢神経障害もあるため、「多発ニューロパチー」と「ギラン・バレー症候群」の違いを区別しておく必要がある。
✗ 2. 誤り
デルマトームに沿った感覚障害を認める。
デルマトーム(皮膚分節)に沿った感覚障害は神経根障害(神経根症)の特徴である。多発ニューロパチーでは、長い神経線維ほど障害されやすいため「手袋靴下型」(glove and stocking type)の感覚障害が特徴的にみられる。四肢遠位部から対称性に始まり、徐々に近位部へ進行するパターンである。
✗ 3. 誤り
深部腱反射が亢進する。
多発ニューロパチーは末梢神経(下位運動ニューロン)の障害であり、深部腱反射は低下ないし消失する。深部腱反射が亢進するのは上位運動ニューロン(錐体路)障害の所見であり、痙性麻痺やバビンスキー徴候陽性を伴う。末梢神経障害と中枢性障害の鑑別において、腱反射の亢進・低下は重要な判断基準である。
✓ 4. 正しい
アルコール多飲が原因となる。
アルコール多飲は多発ニューロパチーの代表的原因である。慢性的なアルコール摂取はビタミンB1(チアミン)の吸収障害と消費亢進を引き起こし、ビタミンB1欠乏を介して末梢神経が障害される。アルコール性ニューロパチーでは下肢優位の感覚障害・疼痛・筋力低下がみられる。重症例ではウェルニッケ脳症(意識障害・眼球運動障害・失調)を合併する。
ポイント
  • 多発ニューロパチーの3大特徴: (1)感覚障害優位、(2)手袋靴下型分布、(3)深部腱反射低下・消失。この3点は出題頻度が高い。
  • 多発ニューロパチーの主な原因: アルコール(ビタミンB1欠乏)、糖尿病、薬剤(イソニアジド→ビタミンB6欠乏)、尿毒症、重金属中毒など。原因疾患との関連も問われる。
  • 重要用語: 多発ニューロパチー、手袋靴下型感覚障害、深部腱反射低下、アルコール、ビタミンB1欠乏、ウェルニッケ脳症 を正確に理解しておくこと。
比較表
ビタミン 欠乏症 特徴
B1 脚気、ウェルニッケ脳症 糖質代謝の補酵素(チアミンピロリン酸)
B2 口角炎、口唇炎、舌炎、脂漏性皮膚炎 酸化還元反応の補酵素(FAD・FMN)
B6 口角炎、末梢神経障害、貧血 アミノ酸代謝の補酵素
B12 巨赤芽球性貧血、ハンター舌炎、亜急性連合脊髄変性症 内因子と結合し回腸末端で吸収
ナイアシン ペラグラ(皮膚炎・下痢・認知症) 3Dの法則(Dermatitis, Diarrhea, Dementia)
葉酸 巨赤芽球性貧血、下痢、舌炎 DNA合成に必要
C 壊血病(歯肉出血・皮下出血・創傷治癒遅延) コラーゲン合成に必要
A 夜盲症、眼球乾燥、皮膚乾燥・角化 視覚・上皮組織の維持に必要
D くる病(小児)、骨軟化症(成人) Ca・Pの吸収促進、骨石灰化
E 溶血性貧血、神経障害 抗酸化作用
K 出血傾向、新生児メレナ 凝固因子(II, VII, IX, X)合成に必要
解説画像
あマ指 第27回(2019) 問題57|多発ニューロパチーについて正しいのはどれか。 解説図
あマ指 第27回(2019) 問題57|多発ニューロパチーについて正しいのはどれか。
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