学習トップ理由で解く 臨床医学各論第4章 ▸ D. その他の呼吸器疾患 / Q0371

理由で解く 臨床医学各論

Q0371 呼吸器疾患

出典:鍼灸 第31回(2023) 問題57
問題
肺癌患者にみられる所見と浸潤部位の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 縮瞳 ― 上大静脈
2 顔面浮腫 ― 交感神経
3 嗄声 ― 反回神経
4 腰痛 ― 横隔神経
解答
正解3(嗄声 ――― 反回神経)
解説
✗ 1. 誤り
縮瞳 ― 上大静脈
縮瞳は交感神経の障害で生じるホルネル症候群の一症状であり、上大静脈への浸潤ではない。上大静脈への浸潤では上半身の静脈還流が障害され、顔面浮腫、頸静脈怒張、上肢の浮腫(上大静脈症候群)が出現する。選択肢1と2は組合せが入れ替わっている。
✗ 2. 誤り
顔面浮腫 ― 交感神経
顔面浮腫は上大静脈への浸潤(上大静脈症候群)で出現する所見であり、交感神経への浸潤ではない。交感神経(星状神経節)への浸潤ではホルネル症候群(縮瞳・眼瞼下垂・眼球陥凹・無汗症)が出現する。肺尖部の腫瘍(パンコースト腫瘍)で好発する。
✓ 3. 正しい
嗄声 ― 反回神経
嗄声(させい、声がれ)は反回神経への浸潤により声帯の麻痺が起こることで生じる。反回神経は迷走神経の枝であり、左反回神経は大動脈弓の下を、右反回神経は鎖骨下動脈の下をそれぞれ回って喉頭に分布する。左反回神経は胸腔内を長く走行するため、肺癌や縦隔腫瘍、大動脈瘤などで障害されやすい。反回神経麻痺は肺癌の重要な随伴症状の一つである。
✗ 4. 誤り
腰痛 ― 横隔神経
腰痛は脊椎への転移(転移性骨腫瘍)で生じる症状であり、横隔神経への浸潤とは無関係である。横隔神経が障害されると横隔膜の麻痺が起こり、横隔膜の挙上やしゃっくり(吃逆)が出現する。
ポイント
  • 嗄声と反回神経、顔面浮腫と上大静脈症候群、縮瞳と交感神経(ホルネル症候群)の組合せを正確に覚えること
  • 左反回神経は大動脈弓の下を走行するため、左肺癌や縦隔腫瘍で障害されやすい
  • 肺尖部腫瘍(パンコースト腫瘍)では交感神経・腕神経叢への浸潤によりホルネル症候群と上肢痛が出現する
  • 重要用語: 反回神経麻痺, 嗄声, ホルネル症候群, 上大静脈症候群, パンコースト腫瘍 を正確に理解しておくこと。
比較表
浸潤部位 出現する所見
反回神経 嗄声(声帯麻痺)
交感神経(星状神経節) ホルネル症候群(縮瞳・眼瞼下垂・無汗症)
上大静脈 上大静脈症候群(顔面浮腫・頸静脈怒張)
横隔神経 横隔膜麻痺・しゃっくり
脊椎(骨転移) 腰痛・背部痛
解説画像
鍼灸 第31回(2023) 問題57|肺癌患者にみられる所見と浸潤部位の組合せで正しいのはどれか。 解説図
鍼灸 第31回(2023) 問題57|肺癌患者にみられる所見と浸潤部位の組合せで正しいのはどれか。
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