学習トップ理由で解く 臨床医学各論第4章 ▸ B. 閉塞性呼吸器疾患 / Q0302

理由で解く 臨床医学各論

Q0302 呼吸器疾患

出典:あマ指 第16回(2008) 問題79
問題
肺気腫について誤っている記述はどれか。
選択肢
1 中年以降に多い。
2 喫煙が誘因となる。
3 太い気管支壁が破壊される。
4 ビール樽状の胸郭がみられる。
解答
正解3(太い気管支壁が破壊される。)
解説
✗ 1.
中年以降に多い。
✗ 正しい。肺気腫は中年以降に好発し、加齢とともに増加する疾患である。 40歳以上での罹患率は8~10%程度であり、喫煙歴の長い男性に多い。 長年の喫煙による肺胞壁への障害が蓄積して発症するため、若年者にはまれである。
✗ 2.
喫煙が誘因となる。
✗ 正しい。喫煙は肺気腫の最大のリスク因子であり、この記述は正しい。 喫煙者の約15%で肺機能が加齢変化以上に低下し、臨床的に問題となるCOPDに進展する。 禁煙により以後の肺機能低下率は非喫煙者と同程度にまで軽減するため、早期禁煙が極めて重要である。
✓ 3. 誤り
太い気管支壁が破壊される。
肺気腫で破壊されるのは終末細気管支より末梢の肺胞壁であり、太い気管支壁ではない。 肺胞壁の破壊により気腔が不可逆的に拡大し、ガス交換面積が減少する。 太い気管支壁の障害(気管支壁の肥厚や分泌亢進)は、むしろ慢性気管支炎の特徴であり、肺気腫とは障害部位が明確に異なる。
✗ 4.
ビール樽状の胸郭がみられる。
✗ 正しい。肺気腫では肺の過膨脹により胸郭の前後径が増し、ビール樽状胸郭(樽状胸)を呈する。 X線写真では横隔膜の平低化と肺野の透過性亢進が認められる。 口すぼめ呼吸も特徴的であり、呼気時に気道の虚脱を防ぐために患者が自然に行う呼吸法である。
ポイント
  • 肺気腫で破壊されるのは「肺胞壁」であり、「太い気管支壁」ではない。太い気管支壁の障害は慢性気管支炎の特徴である。この区別は頻出ポイントである。
  • 肺気腫は形態学的診断名、慢性気管支炎は症状による診断名であり、両疾患は混在しやすくCOPDとして総称される。
  • 肺気腫の身体所見として樽状胸・口すぼめ呼吸・呼吸音減弱・打診での過共鳴音をセットで覚える。
  • 重要用語: 肺気腫, 肺胞壁の破壊, 樽状胸, COPD, 口すぼめ呼吸 を正確に理解しておくこと。
比較表
特徴 肺気腫 慢性気管支炎
障害部位 肺胞壁(末梢気道) 中枢気道(太い気管支)
病態 気腔の不可逆的拡大 気道分泌亢進・壁肥厚
診断名の性質 形態学的診断名 症状による診断名
主な所見 樽状胸、過膨脹、口すぼめ呼吸 膿性痰、湿性咳嗽
体型 やせ型(pink puffer) 肥満傾向(blue bloater)
解説画像
あマ指 第16回(2008) 問題79|肺気腫について誤っている記述はどれか。 解説図
あマ指 第16回(2008) 問題79|肺気腫について誤っている記述はどれか。
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