学習トップ理由で解く 臨床医学各論第3章 ▸ C. 膵臓疾患 / Q0258

理由で解く 臨床医学各論

Q0258 肝・胆・膵疾患

出典:あマ指 第16回(2008) 問題77
問題
慢性膵炎の症状でないのはどれか。
選択肢
1 脂肪便
2 背部痛
3 体重減少
4 低血糖
解答
正解4(低血糖)
解説
✗ 1.
脂肪便
✗ 正しい。慢性膵炎では膵外分泌機能が低下し、リパーゼ・アミラーゼ・トリプシンなどの消化酵素の分泌が減少する。特にリパーゼ欠乏により脂肪の消化が障害され、未消化の脂肪が便中に排泄されて脂肪便(白色便、悪臭、便器に浮く)を呈する。脂肪便は慢性膵炎の特徴的な症状であり、ビタミンA・D・E・Kなどの脂溶性ビタミン欠乏症も合併する。
✗ 2.
背部痛
✗ 正しい。腹痛は慢性膵炎の主要症状である。持続性または反復性の上腹部痛(心窩部痛)が背部に放散するのが特徴的で、前かがみの姿勢で軽減することがある。膵臓の線維化と膵管内圧上昇、周囲組織の炎症が原因とされる。飲酒や食事(特に脂肪食)により増悪する。
✗ 3.
体重減少
✗ 正しい。慢性膵炎では体重減少がみられる。消化酵素分泌低下による消化吸収障害(脂肪便・下痢)、腹痛による食事摂取量の減少、アルコール性の場合の栄養状態不良などが原因である。進行例では著明な体重減少とるいそうを呈する。
✓ 4. 誤り
低血糖
慢性膵炎では低血糖ではなく「糖尿病(高血糖)」をきたす。膵内分泌機能が障害されてインスリン分泌が低下し、二次性糖尿病が発症する。これは膵性糖尿病とよばれ、慢性膵炎患者の約30〜80%に合併する。低血糖はインスリン過剰分泌(インスリノーマなど)で見られる病態であり、慢性膵炎とは逆の状態である。
ポイント
  • 慢性膵炎の2大機能障害:膵外分泌機能低下(脂肪便・消化吸収障害)と膵内分泌機能低下(糖尿病)。
  • 腹痛の特徴:上腹部痛が背部に放散、前かがみで軽減、飲酒・脂肪食で増悪。
  • 膵性糖尿病の特徴:インスリン分泌低下による高血糖。グルカゴン分泌も低下するため低血糖を起こしやすい側面もあるが、基本病態は高血糖である。
  • 脂肪便の原因:リパーゼ欠乏→脂肪消化障害→未消化脂肪の便中排泄。
  • 重要用語: 脂肪便、背部放散痛、体重減少、膵性糖尿病、膵外分泌機能低下 を正確に理解しておくこと。
比較表
機能障害 障害される機能 主な症状
膵外分泌機能低下 消化酵素(リパーゼ等)分泌↓ 脂肪便、消化吸収障害、体重減少
膵内分泌機能低下 インスリン分泌↓ 高血糖(膵性糖尿病)
解説画像
あマ指 第16回(2008) 問題77|慢性膵炎の症状でないのはどれか。 解説図
あマ指 第16回(2008) 問題77|慢性膵炎の症状でないのはどれか。
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