学習トップ理由で解く 臨床医学各論第3章 ▸ A. 肝臓疾患 / Q0179

理由で解く 臨床医学各論

Q0179 肝・胆・膵疾患

出典:鍼灸 第2回(1994) 問題81
問題
肝性昏睡にみられない症状はどれか。
選択肢
1 はばたき振戦
2 傾眠傾向
3 アンモニア口臭
4 下肢対麻痺
解答
正解4(下肢対麻痺)
解説
✗ 1.
はばたき振戦
✗ 正しい。はばたき振戦(羽ばたき振戦、flapping tremor、asterixis)は肝性脳症にみられる特徴的な神経所見である。両手を前方に挙上・背屈させると、手首が鳥が羽ばたくような不規則な振戦を示す。肝性脳症の診断に重要な身体所見である。
✗ 2.
傾眠傾向
✗ 正しい。傾眠傾向は肝性脳症にみられる初期段階の意識障害である。軽度の意識混濁から始まり、昼夜逆転、見当識障害を経て、傾眠、昏睡へと進行する。昏睡に至る前段階として出現する重要な症状である。
✗ 3.
アンモニア口臭
✗ 正しい。アンモニア口臭(肝性口臭)は肝性脳症にみられる所見である。肝でのアンモニア代謝障害により血中アンモニアが上昇し、呼気中に排泄されて生じる特有の甘酸っぱい臭いである。肝不全の指標となる所見で、血中アンモニア値の上昇と相関する。
✓ 4. 誤り
下肢対麻痺
下肢対麻痺は脊髄の両側性障害(脊髄腫瘍、脊髄炎、脊髄損傷など)でみられる症状であり、肝性昏睡(肝性脳症)の症状ではない。肝性脳症は代謝性脳症であり、局所神経症状を呈することはない。よって本選択肢が正答となる。
ポイント
  • 肝性脳症の病態:重症肝障害によりアンモニアなどの有害物質が代謝されず脳に作用して意識障害を来す
  • 特徴的所見:はばたき振戦、肝性口臭、意識障害(傾眠→昏睡)、昼夜逆転、見当識障害
  • 進行段階:I度(軽度の意識混濁、昼夜逆転)→II度(傾眠、見当識障害)→III度(昏睡、刺激に反応)→IV度(深昏睡)
  • 治療:低たんぱく食、ラクチュロース(腸管でのアンモニア産生・吸収抑制)、分岐鎖アミノ酸製剤
  • 重要用語: 肝性脳症, はばたき振戦, アンモニア, 傾眠, 肝性口臭 を正確に理解しておくこと。
比較表
昏睡度 意識状態 主な所見
I度 軽度の意識混濁 昼夜逆転、多幸感
II度 傾眠、見当識障害 はばたき振戦(+)
III度 嗜眠〜半昏睡 刺激に反応あり
IV度 深昏睡 刺激に反応なし
解説画像
鍼灸 第2回(1994) 問題81|肝性昏睡にみられない症状はどれか。 解説図
鍼灸 第2回(1994) 問題81|肝性昏睡にみられない症状はどれか。
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