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理由で解く 理学療法士

QP61P005 理学療法治療学

出典:第61回理学療法士国家試験(2026)午後 問5
問題
58歳の男性。飲酒後に自宅ソファーで寝てしまい、起床時に右手が動かなくなったことを主訴に受診。橈骨神経麻痺(高位型)と診断された。長橈側手根伸筋より遠位の橈骨神経支配の筋はMMTで0〜1レベルであった。1か月後も自然回復を認めなかったため、上肢装具を作製することになった。作製する装具で最も適切なのはどれか。
図
選択肢
1 1
2 2
3 3
4 4
5 5
解答
正解4(4)
解説

高位橈骨神経麻痺の下垂手・下垂指には、手関節伸展保持と手指MCP伸展を動的に補助する伸展補助装具(図4)が最適。

高位橈骨神経麻痺では手関節伸展筋・手指伸展筋(EDC等)・母指伸展筋が麻痺し、下垂手・下垂指を呈する。本例は長橈側手根伸筋より遠位のMMTが0〜1で、1か月経っても自然回復がなく、伸展機能を代償する装具が必要である。図4は前腕を支持したうえでアウトリガーとスプリング/ゴムにより手指MCPを伸展方向へ牽引する動的伸展補助装具で、手関節伸展位の保持と手指伸展の動的補助を同時に行える。したがって下垂手・下垂指の機能代償に最も適する。図3の静的コックアップは手関節保持のみで手指伸展を補助できず、図1(肩用吊り具)・図2(BFO)は近位・肩の支持を目的とし本病態には不適。図5は特定の指のみを牽引する限局的な動的装具で全指の下垂補助には不向きである。

✗ 1. 誤り
1
肩・上腕用吊り具(アームスリング/肩固定装具):パッド付きストラップで前腕を体幹前面に保持する肩関節用の装具。下垂手・下垂指に対する手関節や手指の伸展補助はできない
✗ 2. 誤り
2
平衡式前腕装具(BFO/mobile arm support):机の支柱から前腕を懸垂支持し、近位筋力低下者の食事動作などを補助する装具。橈骨神経麻痺による手指伸展障害の代償には無効
✗ 3. 誤り
3
手関節を伸展位に静的保持するのみで(母指部付き)、麻痺した手指MCPの伸展を動的に補助する機構がない。下垂指を機能的に補えない
✓ 4. 正しい
4
前腕を支持し、アウトリガーとスプリング/ゴムで手指の基節部を伸展方向へ牽引する。手関節の伸展位保持に加え手指MCP伸展を動的に補助でき、下垂手・下垂指を呈する高位橈骨神経麻痺に最適
✗ 5. 誤り
5
アウトリガーとゴムで特定の指のみを牽引する装具で、牽引対象・方向が限局しており、全指の下垂を補う伸展補助には不適
ポイント
  • 橈骨神経麻痺=下垂手(手関節背屈・手指伸展不能)
  • コックアップ・スプリントで手関節を背屈位保持
  • 目的は機能肢位保持・拘縮予防・把持補助
比較表
末梢神経麻痺と代表的変形・装具
神経変形装具
橈骨神経下垂手コックアップ・スプリント
正中神経猿手対立装具
尺骨神経鷲手MP屈曲補助(ナックルベンダー)
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