学習トップ理由で解く 理学療法士第15章 ▸ 実地 / QP61A020

理由で解く 理学療法士

QP61A020 臨床実習

出典:第61回理学療法士国家試験(2026)午前 問20
問題
8週の臨床実習に臨む学生。3日前に右変形性膝関節症により人工関節置換術を施行した70歳代の女性の理学療法に参加する。安静時痛は認めないが、体動時はNRSで6点。右膝関節可動域は伸展‐10度、屈曲75度。歩行器を使用した歩行練習を本日より導入した。実習の参加レベルと内容の組合せで誤っているのはどれか。
選択肢
1 見学 ― 歩行器での歩行練習
2 共同参加 ― 車椅子からの移乗動作介助
3 共同参加 ― 左右の大腿周径の計測
4 実施 ― 右大腿四頭筋セッティング
5 実施 ― 右膝関節の他動的な関節可動域運動
解答
正解5(実施 ― 右膝関節の他動的な関節可動域運動)
解説

診療参加型臨床実習では侵襲・リスクの高い行為ほど学生の関与を「見学」寄りに留める。術後3日の膝への他動的関節可動域運動は疼痛・組織損傷リスクが高く、学生が単独で「実施」するのは不適切。

診療参加型臨床実習(クリニカルクラークシップ)では、行為のリスクと学生の習熟度に応じて「見学→共同参加→実施」と関与レベルを段階づける。人工膝関節置換術後3日は疼痛(体動時NRS6)や可動域制限が強く、他動的関節可動域運動は力加減を誤ると疼痛増悪や創部・軟部組織への侵襲を招くため、指導者が主体で行い学生は見学または共同参加に留めるべきである。したがって「実施(学生が単独で行う)×右膝関節の他動的関節可動域運動」の組合せが誤り。歩行練習の見学、移乗動作介助や大腿周径計測の共同参加、リスクの低い大腿四頭筋セッティングの実施は、いずれもリスクと関与レベルの対応として妥当である。

✗ 1. 正しい
見学 ― 歩行器での歩行練習
本日導入で転倒リスクがあり見学は妥当(正しい組合せ)
✗ 2. 正しい
共同参加 ― 車椅子からの移乗動作介助
介助を要する動作を指導者と共同参加で行うのは妥当(正しい組合せ)
✗ 3. 正しい
共同参加 ― 左右の大腿周径の計測
計測を共同参加で行うのは妥当(正しい組合せ)
✗ 4. 正しい
実施 ― 右大腿四頭筋セッティング
低リスクの等尺性運動で学生の実施は妥当(正しい組合せ)
✓ 5. 誤り
実施 ― 右膝関節の他動的な関節可動域運動
術後3日の膝への他動運動は侵襲・疼痛リスクが高く、学生単独の実施は不適切(誤っている組合せ)
本問は厚生労働省が「問題として適切であるが、受験者レベルでは難しすぎるため」として採点除外とした問題です(第61回理学療法士国家試験 午前第20問)。設問そのものに不備はないと公式に認められているため、当方では設問文・選択肢とも一切改変せず、原問のまま出題しています。厚生労働省は正答を公表していませんが、日本理学療法士協会『臨床実習教育の手引き(第6版)』表4では、関節可動域運動は通常は水準Ⅰでも「急性期やリスクを伴う状態」では水準Ⅱ(指導者の補助=共同参加)に下げると明記されており、術後3日・体動時痛NRS6の右膝への他動的関節可動域運動を学生が「実施」する選択肢5が誤りとなります(複数の解説の結論も一致しています)。選択肢4の大腿四頭筋セッティングは患者自身が行う自動運動で侵襲が小さく、指導者の監視下で学生が実施できる水準Ⅰに該当します。
ポイント
  • 臨床実習の関与は見学→共同参加→実施と段階づける
  • 高リスク・侵襲的行為ほど見学寄りに留める
  • 術後早期の他動的関節可動域運動は学生単独実施に不向き
比較表
参加レベルとリスクの対応
レベル適する行為の例
見学転倒リスクのある新規歩行練習
共同参加移乗介助・周径計測
実施低リスクの四頭筋セッティング等
(不適)術後早期膝の他動的関節可動域運動を単独実施
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。

この問題をアプリで理由で解く 理学療法士
App Store入手