学習トップ理由で解く 理学療法士第11章 ▸ 実地 / QP60P019

理由で解く 理学療法士

QP60P019 理学療法評価学

出典:第60回理学療法士国家試験(2025)午後 問19
問題
62歳の男性。転倒し前額部を強打し、脊髄損傷と診断された。受傷後3日目のkey muscleのMMTは両側三角筋4、肘屈筋5、肘伸筋2、手関節背屈筋3、中指末節屈筋0、小指外転筋0、下肢筋0。両側乳頭部以下の触覚と痛覚は脱失。肛門の随意収縮と感覚は保たれていた。この患者のASIA機能障害尺度[ASIA Impairment Scale〈AIS〉]はどれか。
選択肢
1 A
2 B
3 C
4 D
5 E
解答
正解2(B)
解説

仙髄機能(肛門感覚)が残存=不全損傷でAは否定。仙髄より下位に有用な随意運動が残らず感覚のみ温存の状態がAIS Bと判定された。

AISは仙髄最下位(S4-5)の感覚・運動が残るか(sacral sparing)でまず完全・不全を分ける。本例は肛門(仙髄領域)の感覚が保たれるため不全損傷であり、完全損傷のAは否定される。感覚は仙髄まで温存されるものの、損傷高位より下位の四肢(下肢筋MMT0など)に運動機能が有用に残存していないため、運動機能が実質的に働かず感覚のみ温存された状態としてAIS Bに分類される。上肢はC5〜C6レベルまで機能し、C7以下が失われる頸髄損傷の像を呈する。なお本問はAISの判定基準の適用が難しく、公式解答はBとされている。

✗ 1. 誤り
A
A(完全損傷):仙髄領域(肛門)の感覚が残存するため完全損傷ではない
✓ 2. 正しい
B
B(感覚不全):仙髄まで感覚が温存されるが、損傷高位より下位に有用な随意運動が残らない。公式解答
✗ 3. 誤り
C
C(運動不全・弱い):神経学的レベルより下位のkey muscleの半数以上がMMT3未満で運動が有用に残る場合。本例は下肢に有用な随意運動がなく該当しない
✗ 4. 誤り
D
D(運動不全・良好):下位key muscleの半数以上がMMT3以上。下肢筋0の本例は該当しない
✗ 5. 誤り
E
E(正常):感覚・運動とも正常。明らかな麻痺がある本例は該当しない
ポイント
  • AIS判定はまずsacral sparing(S4-5感覚・運動)で完全/不全を判別
  • 肛門感覚残存=不全損傷でAを否定
  • 感覚のみ温存で下位に有用な随意運動なし=B
  • C/Dは損傷高位より下位のkey muscleに運動が残る場合
比較表
ASIA機能障害尺度(AIS)
段階内容
A完全:S4-5に感覚・運動なし
B感覚不全:S4-5含む感覚残存、有用な運動なし
C運動不全:下位key muscleの半数以上がMMT3未満
D運動不全:下位key muscleの半数以上がMMT3以上
E正常:感覚・運動とも正常
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