学習トップ理由で解く 理学療法士第10章 ▸ 実地 / QP59A002

理由で解く 理学療法士

QP59A002 基礎理学療法学

出典:第59回理学療法士国家試験(2024)午前 問2
問題
84歳の男性。心疾患の既往はない。転倒して右大腿骨近位部骨折を受傷し、緊急で骨接合術を受けた。翌日離床を目的に理学療法が処方されたが、右下腿の腫脹と圧痛を訴えている。最も優先的に確認すべき血液検査項目はどれか。
選択肢
1 BNP
2 Dダイマー
3 HbA1c
4 PT-INR
5 SP-D
解答
正解2(Dダイマー)
解説

高齢・大腿骨近位部骨折・術後臥床という強い危険因子に、片側下腿の腫脹・圧痛が加わった状況は深部静脈血栓症(DVT)を強く疑う。離床前にDダイマーで血栓の有無をスクリーニングする。

高齢者の大腿骨近位部骨折後は、受傷・手術による血管損傷、臥床による血流うっ滞、加齢や炎症に伴う凝固亢進というVirchowの三徴がそろい、深部静脈血栓症(DVT)の高リスク状態にある。片側の下腿腫脹と圧痛はDVTの典型的な局所所見であり、この状態で離床(下肢運動)を行うと血栓が遊離して肺血栓塞栓症を起こす危険がある。Dダイマーは血栓が形成・溶解される際に上昇する線溶系マーカーで、感度が高く陰性ならDVTを除外しやすいため、離床可否を判断するスクリーニングとして最優先で確認すべき項目である。値が高ければ下肢静脈エコー等で確定診断を進め、それまで安易な下肢運動・離床は控える。

✗ 1. 誤り
BNP
心不全の指標。本例は心疾患既往がなく、下腿の局所症状の評価には直結しない
✓ 2. 正しい
Dダイマー
線溶系マーカーで、DVT・肺塞栓のスクリーニングに有用。片側下腿腫脹・圧痛の評価に最優先
✗ 3. 誤り
HbA1c
過去1~2か月の血糖コントロールの指標で、急性のDVT評価には不適切
✗ 4. 誤り
PT-INR
抗凝固療法(ワルファリン)のモニタリング指標。血栓の有無のスクリーニングそのものには用いない
✗ 5. 誤り
SP-D
間質性肺炎などのマーカーで、下腿の血栓評価とは無関係
ポイント
  • 大腿骨近位部骨折・術後臥床はDVT高リスク(Virchowの三徴)
  • 片側下腿の腫脹・圧痛はDVTの局所所見
  • 離床前のスクリーニングはDダイマー、遊離すれば肺塞栓の危険
比較表
血液検査項目と評価対象
項目主な評価対象
DダイマーDVT・肺塞栓(線溶系)
BNP心不全
HbA1c血糖コントロール(1~2か月)
PT-INR抗凝固療法のモニタリング
SP-D間質性肺疾患
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