学習トップ理由で解く 理学療法士第11章 ▸ 実地 / QP58A011

理由で解く 理学療法士

QP58A011 理学療法評価学

出典:第58回理学療法士国家試験(2023)午前 問11
問題
頸髄損傷者の起き上がり動作を図に示す。Zancolliの四肢麻痺上肢機能分類における最も上位の機能残存レベルはどれか。
図
選択肢
1 C5A
2 C5B
3 C6A
4 C6BII
5 C7A
解答
正解4(C6BII)
解説

Zancolli分類でC6BIIは「強い手関節背屈+円回内筋・橈側手根屈筋」が機能する段階。上腕三頭筋がなくても前腕回内と肘伸展位ロックを使い支持物なしで起き上がれる、ADL自立の境界となる重要レベル。「最も上位の残存レベル=その動作がぎりぎり可能な最重度レベル」を問う視点に注意。

設問は「この起き上がり動作が可能な最も上位(=最も高位・最重度で機能が最小)の残存レベル」を問うている。図は背臥位から両前腕支持位へ移る5コマの連続動作で、手指把持や上腕三頭筋によるプッシュアップは用いず、頸部を屈曲させながら前腕で体幹を段階的に持ち上げている。この動作の可否は身体肢位そのものではなく残存筋レベルで決まる。C5A・C5Bは手関節背屈がなく(C5Bで腕橈骨筋のみ)、肩・肘屈筋だけでは体幹を起こせず、支持物なしの起き上がりは不能。C6Aは弱い手関節背屈が出始めるが円回内筋を欠き前腕回内・肘ロックが不十分で難しい。C6BIIになると強い手関節背屈に円回内筋・橈側手根屈筋が加わり、前腕を回内して一側ずつ肘を伸展位でロックしながら押し上げる方法(上腕三頭筋不要)で支持物なしに起き上がれる。C7Aでは上腕三頭筋・肘伸展が働き容易にできてしまうため「最も上位」の答えにはならない。よって、この動作が成立する境界=最重度レベルであるC6BII(選択肢4)が正答となる。C6BIIは頸髄損傷でADL自立の分かれ目とされる重要な髄節でもある。

✗ 1. 誤り
C5A
C5A(肘屈曲のみ・腕橈骨筋なし):上腕二頭筋による肘屈曲と肩周囲筋しかなく、手関節背屈も前腕支持を安定させる力もないため一人での起き上がりはできない
✗ 2. 誤り
C5B
C5B(腕橈骨筋が機能):腕橈骨筋は働くが手関節背屈がなく、ベッド柵や紐など支持物に頼らなければ起き上がれず、図のような支持物なしの動作は不可
✗ 3. 誤り
C6A
C6A(弱い手関節背屈・円回内筋なし):長橈側手根伸筋(ECRL)による弱い手関節背屈が出始めた段階で円回内筋を欠くため、前腕回内と肘伸展位ロックが不十分で、この起き上がりを独力で行うのは困難
✓ 4. 正しい
C6BII
C6BII(強い手関節背屈+円回内筋・橈側手根屈筋が機能):ECRL/ECRBによる強い手関節背屈に加え円回内筋・橈側手根屈筋が働くため、前腕を回内し一側ずつ肘伸展位でロックしながら支持物なしで起き上がれる。上腕三頭筋がなくてもこの動作を遂行できる、最も上位(最重度・最小機能)の残存レベル
✗ 5. 誤り
C7A
C7A(上腕三頭筋・肘伸展が加わる):肘伸展が可能となりプッシュアップで容易に起き上がれてしまうため、「ぎりぎり可能な最も上位のレベル」には当たらず不適
ポイント
  • Zancolli分類=機能する最遠位筋で上肢機能を段階化
  • C6は手関節背屈によるtenodesis把持が鍵
  • C6BIIは円回内筋・上腕三頭筋が加わり上肢支持が可能
比較表
Zancolli分類の主なレベルとkey muscle
レベル働く主な筋機能の特徴
C5A上腕二頭筋(不完全)肘屈曲弱・手関節運動なし
C5B腕橈骨筋肘屈曲可・手関節背屈なし
C6A長橈側手根伸筋(弱)手関節背屈弱
C6BII円回内筋・上腕三頭筋手関節背屈強・肘伸展可・tenodesis把持
C7A総指伸筋・上腕三頭筋手指伸展・確実な肘伸展
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