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理由で解く 理学療法士

QP57P019 理学療法治療学

出典:第57回理学療法士国家試験(2022)午後 問19
問題
72歳の男性。脳梗塞による左片麻痺。座位姿勢と机上での検査結果を図に示す。理学療法として誤っているのはどれか。
図
選択肢
1 視覚探索課題を行う。
2 後頸部に振動刺激を行う。
3 車椅子の右側のブレーキレバーを延長する。
4 対象物が右へ偏倚するプリズム眼鏡をかけて練習する。
5 車椅子駆動時に進行方向の左側に注意するよう指導する。
解答
正解3(車椅子の右側のブレーキレバーを延長する。)
解説

左半側空間無視では気づきにくい左側に手がかり・注意を向けるのが原則で、右側のブレーキレバー延長は誤った対応である。

図は右半球損傷(左片麻痺)による左半側空間無視を示している。線分二等分試験では印が中央より右へ偏位し、線分抹消試験では右側の線分のみ抹消され左側が見落とされている=いずれも左側空間の無視所見である。左半側空間無視の対応原則は、患者が気づきにくい『左側』に手がかりを与え、注意を向けさせ、順応を促すことにある。選択肢1(視覚探索)、2(後頸部振動刺激)、4(右偏倚プリズム順応)、5(左側への注意指導)は、いずれも左無視に対する妥当なアプローチである。一方、車椅子のブレーキレバーは、患者が知覚しづらい左側を延長・目立たせて操作を促すべきであり、既に十分知覚できる右側を延長するのは無視への対応として的外れである。したがって『理学療法として誤っている』のは選択肢3であり、公式正答と整合する。

✗ 1. 正しい
視覚探索課題を行う。
無視側(左)へ意図的に視線・注意を向けさせる探索訓練で、半側空間無視に対する標準的アプローチ。適切な理学療法
✗ 2. 正しい
後頸部に振動刺激を行う。
頸部筋への経皮的振動刺激は主観的正中を偏位させ、無視側への注意を促す治療手技。適切な理学療法
✓ 3. 誤り
車椅子の右側のブレーキレバーを延長する。
無視されるのは左側なので、気づきにくい左側のレバーを延長して操作しやすくすべき。既に知覚できる右側を延長するのは的外れで、これが『誤っている理学療法』=設問の答え
✗ 4. 正しい
対象物が右へ偏倚するプリズム眼鏡をかけて練習する。
視野を右方へずらすプリズム順応療法で、左方向への順応後効果により左無視を軽減する標準治療。適切な理学療法
✗ 5. 正しい
車椅子駆動時に進行方向の左側に注意するよう指導する。
無視側である左側への注意喚起であり妥当な指導。適切な理学療法
ポイント
  • 右半球損傷の左片麻痺=左半側空間無視を疑う
  • 手がかりや延長は無視側(左)に設定する
  • プリズム順応は右方向シフトで左無視を軽減
比較表
半側空間無視への代表的アプローチ
方法ねらい
視覚探索訓練無視側への能動的探索
プリズム順応空間座標の左方向補正
頸部振動刺激身体正中軸の偏り補正
環境調整(左側に手がかり)無視側への注意喚起
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