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理由で解く 理学療法士

QP57P017 理学療法治療学

出典:第57回理学療法士国家試験(2022)午後 問17
問題
64歳の女性。右利き。脳梗塞。約1か月前に左大脳に発症。現在は聴覚理解に問題はないが、発語は非流暢かつ緩徐である。話す言葉の量は少なく、発語の際には多大な努力を要している。四肢の麻痺はみられない。この患者への対応として正しいのはどれか。
選択肢
1 患者の話す内容が文法的に誤っていれば医療者が即座に細かく修正する。
2 患者が「はい」「いいえ」で答えることができるように質問する。
3 医療者が口頭で説明をするときにはジェスチャーを交える。
4 コミュニケーションエイドを導入する。
5 患者にメモをとるように指導する。
解答
正解2(患者が「はい」「いいえ」で答えることができるように質問する。)
解説

聴覚理解が保たれ発語が非流暢・努力性なのはBroca(運動性・非流暢性)失語。表出の負担を減らすため「はい/いいえ」で答えられる閉じた質問(yes-no質問)が有効。

聴覚的理解は良好で、発語が非流暢・緩徐・努力性で発話量が少ないという特徴は、左前頭葉(Broca野周辺)病変による運動性(非流暢性)失語に一致する。この型では言語表出が最も障害されるため、患者に長い言語表出を求めず「はい/いいえ」や選択で答えられる閉じた質問(yes-no質問)を用いると意思疎通が容易になる。理解は保たれているので、誤りを逐一細かく修正したり過度に代替手段へ切り替えるより、まず表出の負担を減らす関わりが適切。したがって選択肢2が正しい。

✗ 1. 誤り
患者の話す内容が文法的に誤っていれば医療者が即座に細かく修正する。
発話の努力を要する患者の意欲を損ない、発話をさらに抑制する。不適切。
✓ 2. 正しい
患者が「はい」「いいえ」で答えることができるように質問する。
表出の負担が少なく、理解の保たれたBroca失語で有効。正しい。
✗ 3. 誤り
医療者が口頭で説明をするときにはジェスチャーを交える。
一般に有用だが、本例は理解が保たれており表出障害が主体のため、最優先の対応ではない。
✗ 4. 誤り
コミュニケーションエイドを導入する。
まず残存する理解力を活かした関わりを優先すべきで、この時期の第一選択ではない。
✗ 5. 誤り
患者にメモをとるように指導する。
失語では書字も障害されやすく、努力性の患者に負担を強いる。不適切。
ポイント
  • 理解良好+非流暢・努力性発語=Broca(運動性)失語
  • 表出の負担を減らす「はい/いいえ」質問が有効
  • 誤りの逐一修正は意欲を損ない不適切
比較表
代表的失語型の比較
流暢性聴覚理解病変
Broca(運動性)非流暢・努力性良好左前頭葉(Broca野)
Wernicke(感覚性)流暢不良左側頭葉(Wernicke野)
全失語非流暢不良広範な左半球
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