学習トップ理由で解く 理学療法士第12章 ▸ 実地 / QP57P013

理由で解く 理学療法士

QP57P013 理学療法治療学

出典:第57回理学療法士国家試験(2022)午後 問13
問題
65歳の女性。左変形性股関節症。3年前からの左股関節痛に対して後方侵入法で人工股関節置換術を受けた。術後のエックス線写真を図に示す。手術後3週までの患側の理学療法で正しいのはどれか。
図
選択肢
1 立ち上がり動作は股関節内旋位で行う。
2 術後翌日から等尺性筋力増強練習を開始する。
3 術後3日間はベッド上安静とする。
4 術後2週は股関節を45度以上屈曲しない。
5 術後3週は免荷とする。
解答
正解2(術後翌日から等尺性筋力増強練習を開始する。)
解説

後方進入THA後は屈曲・内転・内旋の脱臼肢位を避けつつ、脱臼リスクの低い等尺性筋力増強を術後翌日から開始し早期離床・早期荷重を進める。

図は骨盤AP像で、患者の左股関節に人工股関節全置換術後の金属インプラント(臼蓋カップ・大腿骨頭ボール・大腿骨ステム)が明瞭に確認でき、右股関節は自家関節である。すなわち本文どおり左THAが施行された状態を裏付ける。術後理学療法では、脱臼肢位(後方進入では屈曲・内転・内旋)を避けつつ早期離床・早期運動を進めるのが原則である。等尺性収縮は関節を動かさず脱臼リスクが低いため、術後翌日から大腿四頭筋・殿筋のセッティングなどを開始できる(選択肢2=正)。一方、内旋位での立ち上がりは脱臼肢位で禁忌(1)、3日間のベッド上安静は早期離床の原則に反し(3)、屈曲制限は45度ではなく約90度で45度制限は過度(4)、荷重も早期に許可され3週免荷は不要(5)であり、いずれも誤り。図はこの臨床シナリオ(THA施行)を確認し、正答2と矛盾しない。

✗ 1. 誤り
立ち上がり動作は股関節内旋位で行う。
後方進入法THA後は股関節の屈曲・内転・内旋が後方脱臼の危険肢位。内旋位での立ち上がりは避けるべきで誤り
✓ 2. 正しい
術後翌日から等尺性筋力増強練習を開始する。
関節運動を伴わない等尺性収縮(大腿四頭筋セッティング・殿筋セッティング等)は脱臼リスクが低く、術後早期(翌日)から安全に開始できる
✗ 3. 誤り
術後3日間はベッド上安静とする。
現在のTHAでは早期離床が原則で、長期臥床は深部静脈血栓症・肺塞栓・廃用を招くため不適切
✗ 4. 誤り
術後2週は股関節を45度以上屈曲しない。
脱臼予防の屈曲制限は概ね90度で、45度制限は過度に厳しく日常動作を妨げる
✗ 5. 誤り
術後3週は免荷とする。
多くのTHA(本図のようなステム設置例)では術後早期から部分〜全荷重が許可され、3週間の免荷は不要
ポイント
  • 後方進入THAの脱臼肢位=屈曲・内転・内旋
  • 術後翌日からの等尺性収縮は安全に開始可
  • 早期離床・早期荷重が原則、過度の安静/免荷は不可
比較表
THAの進入法と脱臼肢位
進入法脱臼方向避けるべき肢位
後方進入後方脱臼屈曲・内転・内旋
前方/前側方進入前方脱臼伸展・内転・外旋
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