学習トップ / 理由で解く 理学療法士 / 第10章 ▸ 実地 / QP57P014
理由で解く 理学療法士

橋の十字状高信号(hot cross bun sign)と橋・小脳の萎縮は多系統萎縮症(MSA)に特徴的。MSAは声帯外転障害による呼吸困難・突然死を合併する。
本例は、進行性の歩行失調、単調で途切れ途切れの断綴性構音障害、膀胱直腸障害と起立性低血圧という自律神経障害、四肢の固縮・振戦というパーキンソニズムがそろっており、多系統萎縮症(MSA)が疑われる。頭部MRIのFLAIR画像では、水平断(図A)で橋に十字状の高信号=hot cross bun signと小脳の萎縮を、矢状断(図B)で橋(脳幹)と小脳の萎縮を認め、いずれもMSAに典型的な所見である。MSAでは経過中に喉頭の声帯外転障害、すなわち声帯麻痺を合併し、吸気性喘鳴・呼吸困難をきたすほか、睡眠時の上気道閉塞から突然死の原因にもなる。本例が「声が小さくなり呼吸困難感を訴える」ようになった経過は、この声帯麻痺を強く示唆する。失語は優位半球の側頭・前頭葉皮質の病変で生じるもので、橋・小脳優位の萎縮を示す本例では説明できない。下方注視麻痺は垂直性眼球運動障害であり、進行性核上性麻痺(PSP)に特徴的である。拮抗失行は脳梁病変、他人の手徴候は皮質基底核変性症(CBD)の症候で、いずれもMSAの画像所見・病態と合致しない。したがって合併する可能性が高いのは声帯麻痺である。
| 疾患 | 特徴的症状 |
|---|---|
| MSA | 自律神経障害・小脳失調・声帯麻痺・hot cross bun sign |
| PSP | 下方(垂直性)注視麻痺・易転倒 |
| 大脳皮質基底核変性症 | 他人の手徴候・拮抗失行・非対称性失行 |
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