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理由で解く 理学療法士

QP56P049 理学療法治療学

出典:第56回理学療法士国家試験(2021)午後 問49
問題
松葉杖の使用について正しいのはどれか。
選択肢
1 ロフストランド杖より歩行時に体幹を伸展位に保持しやすい。
2 腋窩と脇当ては4〜5cm程度の距離を設ける。
3 肘関節完全伸展位で握りを把持する。
4 階段昇段時は杖を先に出す。
5 T字杖よりも免荷が少ない。
解答
正解2(腋窩と脇当ては4〜5cm程度の距離を設ける。)
解説

松葉杖の脇当ては腋窩を直接圧迫してはならない。腋窩から指2〜3本分、4〜5cm程度下げた位置に合わせる。

松葉杖の適合で最も重要なのは、脇当てを腋窩に押し当てないことである。腋窩を圧迫すると、そこを走る神経・血管(とくに橈骨神経)が障害され、松葉杖麻痺を生じる。そのため脇当ての上縁は腋窩から指2〜3本分、およそ4〜5cm下方に位置させ、体重は脇当てではなく握りを介して手と上肢で支える。握りの高さは、握ったときに肘が約30°屈曲する位置に合わせる。完全伸展位では衝撃を肘で吸収できず、体重を押し下げて支えることもできない。階段は「昇りは健側下肢から、降りは杖(と患側)から」が原則で、昇段時に杖を先に出すのは誤りである。免荷量は、腋窩と手の2点で支える松葉杖のほうがT字杖よりも大きい。体幹を伸展位に保ちやすいのはむしろ前腕カフで杖を保持できるロフストランド杖であり、松葉杖は体重を上肢で支える際に体幹が前傾しやすい。

✗ 1. 誤り
ロフストランド杖より歩行時に体幹を伸展位に保持しやすい。
誤りの記述。前腕カフで杖を保持できるロフストランド杖のほうが体幹を起こしやすい
✓ 2. 正しい
腋窩と脇当ては4〜5cm程度の距離を設ける。
正しい記述。指2〜3本分=4〜5cmあけて腋窩の圧迫(松葉杖麻痺)を防ぐ
✗ 3. 誤り
肘関節完全伸展位で握りを把持する。
誤りの記述。握りは肘が約30°屈曲する高さに合わせる
✗ 4. 誤り
階段昇段時は杖を先に出す。
誤りの記述。昇段は健側下肢が先(昇りは健脚から、降りは杖から)
✗ 5. 誤り
T字杖よりも免荷が少ない。
誤りの記述。腋窩松葉杖のほうがT字杖より免荷量は大きい
ポイント
  • 脇当てと腋窩の間は2〜3cm(指2〜3横指)あける
  • 腋窩圧迫は松葉杖麻痺(橈骨神経)の危険
  • 握りは肘関節約30°屈曲位
  • 昇りは健脚から、降りは杖から
比較表
松葉杖の適合と使用の要点
項目適切な設定
脇当てと腋窩の距離2〜3cm(指2〜3横指)
肘関節の角度約30°屈曲位
階段昇段健側下肢を先に
階段降段杖(患側)を先に
免荷量T字杖より大きい
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