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理由で解く 理学療法士

QP56P005 理学療法評価学

出典:第56回理学療法士国家試験(2021)午後 問5
問題
56歳の男性。頭痛と複視を自覚し脳神経内科を受診した。頭部MRIで右脳幹部に腫瘍性病変を指摘された。対座法で観察した眼球運動を図に示す。障害されている脳神経はどれか。
図
選択肢
1 右動眼神経のみ
2 右滑車神経のみ
3 右外転神経のみ
4 右動眼神経と右滑車神経
5 右動眼神経と右外転神経
解答
正解3(右外転神経のみ)
解説

右方視で右眼だけが外転しない=右外側直筋麻痺=右外転神経(第Ⅵ脳神経)の単独障害。

図は対座法で観察した9方向むき眼位+輻輳の模式図で、各対の左が患者の右眼、右が患者の左眼を表す。着目すべきは右方視で、患者の左眼(右側の絵)は正常に鼻側へ内転するのに対し、患者の右眼(左側の絵)は外転できず虹彩が正中付近にとどまっている。一方、右眼は左方視では完全に内転でき(内側直筋=動眼神経は保たれる)、上方視・下方視とも正常に動く(上・下直筋・下斜筋=動眼神経、上斜筋=滑車神経も保たれる)。したがって障害されているのは右外側直筋を支配する右外転神経(第Ⅵ脳神経)単独である。外転神経の核・神経は橋にあり、右脳幹(橋)の腫瘍性病変で侵されうる。複視は外転障害により水平(右方視で増悪)に生じる。

✗ 1. 誤り
右動眼神経のみ
上下方視・輻輳・左方視での右眼内転はいずれも正常で、動眼神経支配筋(上直筋・下直筋・内側直筋・下斜筋)に麻痺所見なし
✗ 2. 誤り
右滑車神経のみ
下方視・内下方視で両眼とも正常に下転しており、上斜筋(滑車神経)の障害所見なし
✓ 3. 正しい
右外転神経のみ
右方視で患者の右眼(左側の絵)だけが外転せず虹彩がほぼ正中にとどまる=右外側直筋麻痺=右外転神経の単独障害
✗ 4. 誤り
右動眼神経と右滑車神経
動眼・滑車いずれの運動障害所見も図に認めない
✗ 5. 誤り
右動眼神経と右外転神経
外転障害のみで、動眼神経支配筋の運動障害は図に認めない
ポイント
  • 外転障害単独=外転神経(第VI)麻痺
  • 外転神経は橋を走行し脳幹病変で障害されやすい
  • 複視は患側方向注視で増悪
  • 動眼=眼瞼下垂・散瞳・外下方偏位、滑車=下方視障害・頭部傾斜
比較表
外眼筋を支配する脳神経と麻痺所見
脳神経支配筋麻痺所見
動眼神経(III)上・下・内側直筋、下斜筋、上眼瞼挙筋、瞳孔括約筋眼瞼下垂・散瞳・外下方偏位
滑車神経(IV)上斜筋下方視障害・代償性頭部傾斜
外転神経(VI)外側直筋外転障害・患側注視で複視増悪
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