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理由で解く 理学療法士

QP56P002 理学療法治療学

出典:第56回理学療法士国家試験(2021)午後 問2
問題
72歳の女性。心原性脳梗塞。入院時、血圧145/78mmHg、心拍数102/分、GCS E4V5M6、Brunnstrom法ステージ左上肢Ⅱ、左下肢Ⅱ、左上下肢筋緊張低下。入院時のMRIを図に示す。翌日に理学療法を行う場合、離床練習を中止すべき所見はどれか。
図
選択肢
1 心拍数105/分
2 GCS E2V2M5
3 血圧160/72mmHg
4 左上下肢筋緊張軽度亢進
5 Brunnstrom法ステージ左上肢Ⅲ、左下肢Ⅲ
解答
正解2(GCS E2V2M5)
解説

急性期脳梗塞の離床では、意識レベルの明らかな低下(GCSの低下)が離床練習を中止すべき最優先の増悪徴候である。

図は頭部拡散強調MRIで、患者の右側(放射線学的表示のため画像では左側)の側頭後頭領域に急性期梗塞を示す高信号を認める。これは左片麻痺(Brunnstrom法ステージ左上肢II・左下肢II、左上下肢筋緊張低下=弛緩性)を来す右半球の心原性塞栓性梗塞の所見と一致する。急性期脳梗塞の離床では、血行動態の安定に加えて神経学的増悪の有無を厳重に監視しなければならない。入院時のGCSはE4V5M6、合計15点で意識は清明であった。翌日にE2V2M5(合計9点)へ低下することは意識障害の進行、すなわち梗塞の進展・出血性変化・脳浮腫といった病態悪化を示唆し、離床練習を直ちに中止すべき最優先の所見である。他の選択肢は心拍数・血圧の軽度変動(いずれも一般的な中止基準に達しない)か、筋緊張の出現・Brunnstrom法ステージの改善という回復方向の変化であり、中止の根拠にはならない。

✗ 1. 誤り
心拍数105/分
入院時102/分とほぼ同等の軽度頻脈で、離床の中止基準には達しない
✓ 2. 正しい
GCS E2V2M5
入院時15点から合計9点へ低下。神経学的増悪を示し直ちに中止する
✗ 3. 誤り
血圧160/72mmHg
入院時145/78mmHgからの軽度上昇にとどまり、中止基準に達しない
✗ 4. 誤り
左上下肢筋緊張軽度亢進
弛緩性麻痺から筋緊張が出現した変化で回復方向。中止理由にならない
✗ 5. 誤り
Brunnstrom法ステージ左上肢Ⅲ、左下肢Ⅲ
ステージIIからIIIへの改善であり、中止すべき所見ではない
ポイント
  • 急性期脳卒中の離床中止=まず意識レベル低下
  • GCS低下は出血性梗塞・脳浮腫進行のサイン
  • 血圧・心拍の軽微な変動は許容範囲
  • 麻痺の改善・筋緊張回復は中止理由でない
比較表
離床(早期リハ)を中止・中断すべき代表的所見
項目中止を考慮する目安
意識GCS/JCSの明らかな低下、新たな神経症状
血圧収縮期がおおむね200mmHg以上、または著明低下
心拍・心電図著明な頻脈・徐脈、新規不整脈、胸部症状
自覚症状強い頭痛・嘔吐・めまい・冷汗
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