学習トップ理由で解く 理学療法士第11章 ▸ 実地 / QP56A017

理由で解く 理学療法士

QP56A017 理学療法評価学

出典:第56回理学療法士国家試験(2021)午前 問17
問題
52歳の女性。起床時の頭痛と嘔気を主訴に脳神経外科を受診した。頭部造影MRI T1強調像を図に示す。頭蓋内腫瘍摘出術が予定されており、術前より理学療法が依頼された。神経症候として認める可能性が最も低いのはどれか。
図
選択肢
1 失語
2 拮抗失行
3 情緒障害
4 注意障害
5 遂行機能障害
解答
正解2(拮抗失行)
解説

前頭葉に限局する境界明瞭・強造影の腫瘤(髄膜腫を示唆)では前頭葉症候や失語は起こり得るが、脳梁離断でみられる拮抗失行は脳梁を巻き込まない限り生じにくく最も可能性が低い。

造影T1強調水平断像で、患者左の前頭葉(正中近く)に境界明瞭・分葉状で強く造影される腫瘤を認める。髄外性・境界明瞭・強い造影効果は髄膜腫を示唆し、左前頭葉に限局する。左前頭葉(言語優位半球のBroca野近傍)病変では失語が、前頭葉障害全般として情緒障害・注意障害・遂行機能障害が起こり得る。一方、拮抗失行(一側の手が他方の意図と拮抗する運動を行う)は脳梁前部の離断で生じる離断症候であり、脳梁を巻き込まない本腫瘍では生じる可能性が最も低い。したがって最も可能性が低いのは拮抗失行(選択肢2)。

✗ 1. 誤り
失語
腫瘍は患者左(言語優位半球)前頭葉に位置しBroca野近傍を圧排しうるため運動性失語を生じ得る
✓ 2. 正しい
拮抗失行
脳梁(特に前部)の離断症候であり、本腫瘤は前頭葉に限局し脳梁を明らかには巻き込まないため生じる可能性が最も低い
✗ 3. 誤り
情緒障害
前頭葉(特に眼窩・内側面)障害で情動・行動変化を生じ得る
✗ 4. 誤り
注意障害
前頭葉機能低下により注意障害を生じ得る
✗ 5. 誤り
遂行機能障害
前頭葉障害の代表的症候で生じ得る
ポイント
  • 拮抗失行=脳梁離断症状(特異的)
  • 前頭葉病変=情緒・注意・遂行機能障害
  • 優位半球病変で失語
比較表
高次脳機能障害と主な責任部位
症候主な責任部位
失語優位半球(前頭・側頭)
拮抗失行脳梁(離断症状)
情緒障害前頭葉・辺縁系
注意障害前頭葉・広汎
遂行機能障害前頭葉(特に前頭前野)
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