学習トップ理由で解く 理学療法士第12章 ▸ 実地 / QP56A014

理由で解く 理学療法士

QP56A014 理学療法治療学

出典:第56回理学療法士国家試験(2021)午前 問14
問題
75歳の女性。左膝痛を訴え、関節可動域が伸展-10°、屈曲95°に制限されている。来院時のエックス線写真を図に示す。膝関節拘縮に対する治療で正しいのはどれか。
図
選択肢
1 CPMを行う。
2 大腿を固定して伸張を加える。
3 疼痛を感じるレベルの矯正力を加える。
4 動的膝装具は用いない。
5 連続ギプス法では1日ごとに5°ずつ矯正位を強める。
解答
正解2(大腿を固定して伸張を加える。)
解説

拘縮の伸張は近位の大腿を固定し、疼痛の出ない範囲で持続的に遠位へ伸張力を加えるのが原則である。

別冊No.3のエックス線写真は左膝関節の正面像で、関節裂隙の狭小化など加齢に伴う変化を示し、伸展-10°・屈曲95°という可動域制限の背景となっている。画像は病態の背景を示すにとどまり、正誤は拘縮に対する伸張手技の原則で決まる。関節可動域運動では動かしたい関節の近位側、すなわち大腿を固定して遠位の下腿に伸張力を加えると、膝関節に選択的な伸張が及ぶ。矯正は疼痛を生じない範囲で、低負荷・長時間・漸増的に行うのが原則であり、疼痛を感じるレベルの矯正力は炎症と組織損傷を招いて逆効果となる。CPMは術後の可動域維持や早期運動のために用いる手段で、すでに完成した拘縮を矯正する主手技ではない。動的膝装具は低負荷での持続伸張時間を稼ぐ手段として拘縮の改善に有用であり、用いないと言い切るのは誤りである。連続ギプス法は数日から1週ごとに巻き替えて少しずつ矯正位を強めるもので、1日ごとに5°ずつという設定は組織の適応を超え不適切である。よって正答は2。

✗ 1. 誤り
CPMを行う。
CPMは術後の可動域維持や早期運動が目的で、完成した拘縮を矯正する主手技ではない
✓ 2. 正しい
大腿を固定して伸張を加える。
近位の大腿を固定して遠位に伸張力を加えると膝へ選択的に伸張が及ぶ。拘縮矯正の基本原則で正しい
✗ 3. 誤り
疼痛を感じるレベルの矯正力を加える。
疼痛が出る強さの矯正は炎症・組織損傷を招き逆効果。痛みの出ない範囲で持続的に行う
✗ 4. 誤り
動的膝装具は用いない。
動的膝装具は低負荷持続伸張として拘縮の改善に有用で、用いないとするのは誤り
✗ 5. 誤り
連続ギプス法では1日ごとに5°ずつ矯正位を強める。
連続ギプス法は数日〜1週ごとの巻き替えで漸増矯正する。1日ごとに5°は速すぎて不適切
ポイント
  • ストレッチは近位固定・遠位可動で選択的に
  • 無痛範囲で持続的にゆっくり伸張
  • 連続ギプスは緩徐に矯正を進める
比較表
関節拘縮に対する治療の原則
手技ポイント
徒手ストレッチ近位固定・遠位可動、無痛範囲
連続ギプス数日ごとに緩徐に矯正位を進める
動的装具低負荷長時間の持続伸張
CPM術後の可動域維持が主目的
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