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理由で解く 理学療法士

QP55P003 理学療法評価学

出典:第55回理学療法士国家試験(2020)午後 問3
問題
Danielsらの徒手筋力テストによる検査方法を図1に、前腕中央部の断面図を図2に示す。図1の方法で段階3を判定できる筋は図2のどれか。
図
選択肢
1
2
3
4
5
解答
正解1(1)
解説

MMTの段階3は「重力に抗して全可動域を完全に動かせる」レベル。図1の抗重力肢位での運動方向から、その運動を主動作する前腕筋を図2の断面上で同定する。

Danielsらの徒手筋力テスト(MMT)で段階3(Fair)は、抗重力位で全可動域を完全に運動できるが徒手抵抗には抗せない状態を指す。したがって図1は、対象筋を主動作筋とする運動を「重力に抗する方向」で行わせている検査肢位である。前腕中央部の水平断では、屈筋群(掌側)・伸筋群(背側)・橈側/尺側の筋が配置されており、図1で示された運動方向(例:手関節や手指の屈曲・伸展など)を起こす筋を、その解剖学的位置から選び出す。正答は図2の位置1に描かれた筋で、図1の検査運動の主動作筋と断面上の位置が一致する。段階3の判定に必要なのは抗重力全可動域運動であり、抵抗の強弱ではない点が判断の核心である。

図1は、検査する指の基節骨を固定し他指を伸展位に保ったままPIP関節だけを屈曲させる肢位で、Danielsらの徒手筋力テストにおける浅指屈筋の検査にあたる(DIP関節を屈曲させないことで深指屈筋による代償を除く)。前腕中央部の断面では、掌側浅層に橈側から円回内筋・橈側手根屈筋・長掌筋・尺側手根屈筋が並び、その深層に幅広い板状の浅指屈筋、さらに深層で尺骨に接して深指屈筋、橈骨側に長母指屈筋が位置する。正中神経は浅指屈筋の深面を、尺骨神経は尺側手根屈筋と深指屈筋の間を走行するため、図2に描かれた両神経の位置が筋を同定する目印になる。図2の①はこの浅指屈筋、④は深指屈筋にあたる。

✓ 1. 正しい
図1の抗重力運動の主動作筋であり、前腕断面での位置が一致する
✗ 2. 誤り
〜5 図1で示された運動方向を主動作しない筋、または断面上の位置が運動方向と合致しない筋
✗ 3. 誤り
③は掌側浅層で最も橈側にある円回内筋。前腕回内に働く筋でPIP関節屈曲の主動作筋ではない
✗ 4. 誤り
④は尺骨に接する深層の深指屈筋でDIP関節を屈曲させる。図1はDIP関節を屈曲させずPIP関節だけを屈曲させる肢位で、深指屈筋の代償を除いた浅指屈筋の検査
✗ 5. 誤り
⑤は尺骨から橈骨を包むように走る深層の回外筋。前腕回外に働く筋で手指の屈曲には関与しない
ポイント
  • MMT段階3=抗重力位で全可動域を完全運動(抵抗には抗せない)
  • 検査肢位の運動方向から主動作筋を同定する
  • 前腕断面:掌側=屈筋群、背側=伸筋群、橈側/尺側で細分
  • PIP関節屈曲=浅指屈筋(正中神経)、DIP関節屈曲=深指屈筋(正中神経・尺骨神経)
  • 前腕掌側の浅層は橈側から円回内筋・橈側手根屈筋・長掌筋・尺側手根屈筋
  • 正中神経は浅指屈筋の深面、尺骨神経は尺側手根屈筋と深指屈筋の間を走る
比較表
MMTの段階と基準
段階呼称基準
5Normal強い抵抗に抗し全可動域
4Good中等度抵抗に抗し全可動域
3Fair重力に抗して全可動域(抵抗なし)
2Poor重力を除けば全可動域
1Trace筋収縮は触知するが関節運動なし
0Zero収縮なし
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