学習トップ理由で解く 理学療法士第7章 ▸ 一般 / QP55A083

理由で解く 理学療法士

QP55A083 リハビリテーション医学

出典:第55回理学療法士国家試験(2020)午前 問83
問題
Danielsらの徒手筋力テストについて正しいのはどれか。
選択肢
1 筋を最大伸張させた肢位で行う。
2 協働筋を個々に分離して評価できる。
3 関節可動域に制限があれば評価できない。
4 抑止テストでは徐々に徒手抵抗を強くする。
5 筋収縮が全く認められない筋の判定は段階0である。
解答
正解5(筋収縮が全く認められない筋の判定は段階0である。)
解説

抑止テスト(break test)は検査肢位を保持させ、その保持を破る抵抗を加えて判定する。徐々に抵抗を強めていくのはメイクテストの手技。筋収縮が全くなければ段階0である。

Danielsらの徒手筋力テスト(MMT)で段階3以上の判定に用いる抑止テスト(break test)は、被検筋を検査肢位に保持させ、その保持を破る強さの抵抗を加えて、抗しきれず肢位が崩れる(break)点をとらえて筋力を判定する。抵抗を数秒かけて徐々に強めつつ被検者を打ち負かさないのはメイクテストの手技で、両者はこの点で分かれる。したがって選択肢4は抑止テストの説明としては誤りである。MMTは原則として抗重力位や重力除去位など標準化された肢位で行い、最大伸張位では行わない。共同筋を含む運動全体の力を評価するもので個々の筋を分離評価するものではなく、可動域制限があっても得られる範囲で評価は可能である。触知・視認できる収縮すら全くない場合は段階0(ゼロ)であり、段階1は触知できる収縮のみで関節運動がない状態を指す。

✗ 1. 誤り
筋を最大伸張させた肢位で行う。
MMTは標準化された抗重力位・重力除去位で行い、最大伸張位では行わない
✗ 2. 誤り
協働筋を個々に分離して評価できる。
関節運動に働く筋群を総合的に評価する方法で、個々の筋の分離評価はできない
✗ 3. 誤り
関節可動域に制限があれば評価できない。
可動域制限があっても得られる範囲内で筋力評価は可能
✗ 4. 誤り
抑止テストでは徐々に徒手抵抗を強くする。
抵抗を約3秒以上かけて徐々に強めるのは、打ち負かさない抵抗を用いるメイクテストの手技。抑止テスト(ブレイクテスト)は検査肢位を保持させ、その保持を破る抵抗を加えて判定する
✓ 5. 正しい
筋収縮が全く認められない筋の判定は段階0である。
収縮が全くなければ段階0。段階1は触知可能な収縮のみ
本問(第55回理学療法士国家試験 午前 問83)は、厚生労働省が「選択肢が不明確で、正解が得られないため」として採点対象から除外した問題です。原問のままでは5つの選択肢すべてが誤りで正答が存在しないため、演習として成立するよう当方で選択肢5を、原問の「筋収縮が全く認められない筋の判定は段階1である。」から「筋収縮が全く認められない筋の判定は段階0である。」に改めました。あわせて選択肢2の表記を、当方データの「共同筋を個々に分離して評価できる。」から厚生労働省原問どおりの「協働筋を個々に分離して評価できる。」に戻しています(意味・正誤は変わりません)。選択肢1・3・4は原問のままで、いずれも誤りです。とくに選択肢4の「徐々に徒手抵抗を強くする」はメイクテストの手技であり、抑止テスト(ブレイクテスト)の説明としては誤りである点に注意してください。
ポイント
  • 抑止テスト(break test)=抵抗を徐々に強め崩れる点で判定
  • 収縮が全くない=段階0、触知できる収縮のみ=段階1
  • MMTは標準化肢位で実施、可動域制限があっても評価可能
比較表
MMTの段階(下位段階)
段階判定内容
0(Zero)筋収縮が全く認められない
1(Trace)触知できる筋収縮はあるが関節運動なし
2(Poor)重力を除けば全可動域を動かせる
3(Fair)抗重力で全可動域を動かせる
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