学習トップ理由で解く 理学療法士第12章 ▸ 実地 / QP55A016

理由で解く 理学療法士

QP55A016 理学療法治療学

出典:第55回理学療法士国家試験(2020)午前 問16
問題
60歳の女性。脊髄小脳変性症。四肢体幹の運動失調で座位保持が困難であったが、2週間の座位保持練習を行い、端座位は上肢で支持しなくても保持できるようになった。今後行うバランス能力改善の運動療法として最も適切なのはどれか。
図
選択肢
1 セラピーボール上座位で上肢下肢の挙上
2 端座位からの立ち上がり練習
3 端座位での重心移動練習
4 片膝立ち位での上肢挙上
5 立位で不安定板を用いた荷重練習
解答
正解3(3)
解説

バランス練習は静的座位が安定した次に、同じ端座位のまま重心を動かす動的座位バランスへ進めるのが原則である。

本例は運動失調で座位保持が困難だったが、2週間の練習で上肢支持なしの端座位を保てるようになり、静的座位バランスを獲得した段階にある。バランス練習は静的から動的へ、支持基底面が広く重心の低い姿勢から狭く高い姿勢へと、段階的に難度を上げていく。この段階で次に置くべき課題は、安定した端座位のまま前後左右へ意図的に重心を移す動的座位バランス練習であり、これが選択肢3にあたる。セラピーボール上座位で上肢下肢を挙上する1は、支持面そのものが動くうえに四肢を挙げて支持基底面を狭めるため、失調のある本例には難度が過大で危険である。片膝立ち位での上肢挙上の4、不安定板を用いた立位荷重の5は、さらに支持基底面が狭く重心位置も高く、転倒の危険が大きい。端座位からの立ち上がり練習の2は有用な動作練習だが、座位バランスを固めるこの時期に最優先すべき進行課題ではない。したがって最も適切なのは3である。

✗ 1. 誤り
セラピーボール上座位で上肢下肢の挙上
支持面が動くボール上で四肢を挙げる高難度課題。この段階の失調例には過大で危険
✗ 2. 誤り
端座位からの立ち上がり練習
立ち上がりは有用な動作練習だが、座位バランスを固める今の段階の課題ではない
✓ 3. 正しい
端座位での重心移動練習
安定した端座位で重心を移す動的座位バランス練習。静的獲得後の次段階として最適
✗ 4. 誤り
片膝立ち位での上肢挙上
片膝立ち位は支持基底面が狭く重心も高い。この時期には難度が高すぎる
✗ 5. 誤り
立位で不安定板を用いた荷重練習
不安定板上の立位は最も難度が高いバランス課題で、転倒の危険が大きい
ポイント
  • バランス練習は易→難・静的→動的・広い支持基底面→狭い支持基底面
  • 上肢支持なし静的座位の次は座位での動的バランス(重心移動・リーチ・外乱応答)
  • 難度は現能力の一段上に設定し転倒リスクを管理
比較表
バランス練習の進行原則
易しい難しい
姿勢背臥位・座位立位・片脚立位
支持基底面広い狭い
課題静的保持動的(重心移動・外乱)
支持上肢支持あり支持なし・不安定面
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