学習トップ理由で解く 理学療法士第11章 ▸ 実地 / QP54A011

理由で解く 理学療法士

QP54A011 理学療法評価学

出典:第54回理学療法士国家試験(2019)午前 問11
問題
45歳の男性。会社の事務職として働いていたが、自転車運転中に自動車にはねられ、びまん性軸索損傷を受傷した。身体機能に問題がなかったため、1か月後に以前と同じ部署である庶務に復職した。仕事を依頼されたことや仕事の方法は覚えているが、何から手を付ければ良いのか優先順位が付けられず、周囲の同僚から仕事を促されてしまう状況である。考えられるのはどれか。
選択肢
1 記憶障害
2 コミュニケーション障害
3 失行
4 失認
5 遂行機能障害
解答
正解5(遂行機能障害)
解説

依頼内容や手順は覚えている(記憶は保たれる)が、計画立案・優先順位づけ・段取りができないのは遂行機能障害。びまん性軸索損傷では前頭葉機能が障害されやすい。

遂行機能(実行機能)は、目標設定・計画立案・優先順位づけ・順序立てた実行・自己モニタリングを担う前頭前野中心の高次脳機能である。本例は『仕事の内容や方法は覚えている』ことから記憶は保たれており、記憶障害では説明できない。一方で『何から手を付ければよいか優先順位が付けられず段取りができない』のは、まさに計画・順序立ての障害であり遂行機能障害に合致する。びまん性軸索損傷では広汎な白質・前頭葉連絡線維の損傷により遂行機能障害・注意障害・易疲労が生じやすく、外見上は身体機能が保たれていても社会復帰で顕在化する。よって正答は5『遂行機能障害』。作業手順の外在化(チェックリスト・手順書)、優先順位の明示、環境調整などの代償的アプローチが有効である。

✗ 1. 誤り
記憶障害
仕事内容や手順を覚えており、記銘・保持は保たれている
✗ 2. 誤り
コミュニケーション障害
言語理解・表出や対人交流の障害を示す所見はない
✗ 3. 誤り
失行
運動可能なのに慣れた動作ができない障害で、段取り困難の主症状とは異なる
✗ 4. 誤り
失認
感覚は保たれるのに対象を認知できない障害で、本例の所見に該当しない
✓ 5. 正しい
遂行機能障害
計画立案・優先順位づけ・段取りができない前頭葉性の障害
ポイント
  • 遂行機能=計画・優先順位・段取り・自己モニタリング
  • 記憶が保たれる点が記憶障害との鑑別
  • びまん性軸索損傷は前頭葉性の遂行機能障害を生じやすい
比較表
主な高次脳機能障害の特徴
障害中核症状
遂行機能障害計画・優先順位づけ・段取りの障害
記憶障害新規情報の記銘・保持・想起の障害
失行運動可能でも意図した動作ができない
失認感覚は保たれるが対象を認知できない
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