学習トップ理由で解く 理学療法士第12章 ▸ 実地 / QP53P016

理由で解く 理学療法士

QP53P016 理学療法治療学

出典:第53回理学療法士国家試験(2018)午後 問16
問題
4歳の男児。痙直型両麻痺。しばしば割り座で座る。バニーホッピングと交互性パターンの四つ這いを併用して移動する。PCW<postural control walker>を用いた歩行練習を実施している。この児に対する遊びの指導内容で最も適切なのはどれか。
図
選択肢
1 1
2 2
3 3
4 4
5 5
解答
正解3(3)
解説

割り座・バニーホッピングを示す痙直型両麻痺児には、抗重力の股関節伸展と体幹制御を促す膝立ち位での遊び(図3)が歩行準備として最も適切。

痙直型両麻痺で割り座(W座り)を多用し、バニーホッピング(両下肢同時の跳躍様移動)と交互性四つ這いを併用する児では、股関節屈曲・内転・下肢の分離運動の乏しさが背景にあり、抗重力の股関節伸展と骨盤・体幹コントロールの獲得が歩行(PCW使用)への鍵となる。図3の膝立ち位(high kneeling)は、股関節を伸展させ体幹を直立に保つ抗重力姿勢で、骨盤の安定と重心コントロールを要求するため、割り座・バニーホッピングの屈曲優位パターンに拮抗し、立位・歩行に直結する姿勢制御を育てる。テーブルでの積み木遊びは姿勢を保持したまま両手操作を引き出せる点でも適切である。一方、図1の腹臥位リーチは発達的に低い姿勢で直立位制御を促さず、図2の屈曲座位・図4の椅子座位でのリーチは姿勢要求が低く、いずれも本児の課題である股関節伸展・下肢分離の促進にはつながりにくい。したがって最も適切なのは3。

✗ 1. 誤り
1
腹臥位(ウェッジ)でボールリーチ:くさび台に腹臥位で乗り傾斜面のボールへ手を伸ばす遊び。頭部・上肢の抗重力活動は促すが腹臥位という発達的に低い姿勢で、股関節伸展や直立位での体幹制御は引き出せず、割り座・バニーホッピングの改善や歩行準備にはつながりにくい
✗ 2. 誤り
2
下肢を折りたたんだ座位でボールを抱える遊び。屈曲位での座位保持にとどまり、児が課題とする股関節伸展・下肢の交互性・骨盤コントロールを促進しない
✓ 3. 正しい
3
両膝立ちで股関節を伸展させ体幹を直立させた抗重力位でテーブルに向かい積み木を積む遊び。股関節伸展と骨盤・体幹の安定を要求し、割り座やバニーホッピングでみられる股関節屈曲・下肢の未分離パターンに拮抗して、立位・PCW歩行に必要な直立姿勢制御を育てる。両手が遊びに使える点でも適切
✗ 4. 誤り
4
椅子座位で大人の差し出すボールへ手を伸ばす遊び。支持面の広い座位でのリーチにとどまり姿勢要求が低く、股関節伸展や膝立ち→立位への発達的移行を促さない
✗ 5. 誤り
5
体幹・下肢をベルトで固定した起立保持装置での立位。すでにPCWで歩行練習ができる本児には受動的すぎ、自発的な姿勢制御や下肢の分離運動を引き出せない
ポイント
  • 痙直型両麻痺=股関節内転・内旋痙性、割り座/バニーホッピングは助長するため回避
  • 股関節外転・外旋位、体幹回旋・交互運動を促す遊びが適切
比較表
痙直型両麻痺児で避けたい/促したい姿勢・運動
区分内容
避ける割り座(Wシッティング)・バニーホッピング(内転内旋を助長)
促すあぐら座・横座り(股関節外転外旋)・体幹回旋・交互性運動
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