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理由で解く 理学療法士

QP53P006 理学療法評価学

出典:第53回理学療法士国家試験(2018)午後 問6
問題
脳出血後の頭部CTを図に示す。最も生じやすい症状はどれか。
図
選択肢
1 系列的な動作が順番通りにできない。
2 脳出血発症前のことが思い出せない。
3 左からの刺激に反応しない。
4 左手の感覚が脱失する。
5 人の顔が区別できない。
解答
正解4(左手の感覚が脱失する。)
解説

患者右側の視床出血(感覚中継核の障害)なので、対側である左半身(左手)の感覚脱失が最も生じやすい。

頭部単純CT水平断で、患者の右側(放射線科的表示のため画像では左寄り、「右」表示側)の視床〜大脳基底核領域に、境界明瞭な円形の高吸収域(白い血腫)を認める。急性期の脳出血像であり、第三脳室のすぐ外側という位置から視床出血と読める。視床は全身の体性感覚を大脳皮質へ中継する感覚の中継核(VPL/VPM)であるため、視床出血では対側の感覚障害(しびれ・感覚脱失、いわゆる視床症候群)が最も生じやすい。本図の血腫は患者の右側にあるので、生じる感覚障害は対側の左半身、すなわち「左手の感覚が脱失する」となり、選択肢4が正答。他の選択肢(失行・逆行性健忘・半側空間無視・相貌失認)は頭頂葉皮質や側頭・後頭葉など別部位の障害で生じる症状であり、本図の視床の病変部位とは一致しない。

✗ 1. 誤り
系列的な動作が順番通りにできない。
系列的動作が順番通りにできないのは優位半球(多くは左)頭頂葉障害による失行。本図は患者右側の視床出血であり、部位が一致しない
✗ 2. 誤り
脳出血発症前のことが思い出せない。
発症前の記憶が思い出せないのは海馬・側頭葉内側系の障害。本図の右視床出血の主症状ではない
✗ 3. 誤り
左からの刺激に反応しない。
左からの刺激に反応しないのは主に右頭頂葉皮質病変による無視症状。本図は皮質下の視床出血で、無視より感覚障害が前面に出る
✓ 4. 正しい
左手の感覚が脱失する。
右視床は感覚の中継核(VPL/VPM)であり、その出血で対側=左半身(左手)の感覚障害が最も生じやすい。図の高吸収域(血腫)が患者右側の視床にあることと整合する
✗ 5. 誤り
人の顔が区別できない。
人の顔を区別できないのは後頭側頭葉(紡錘状回)の障害。本図の視床の部位とは一致しない
ポイント
  • 視床=感覚の中継核、障害で対側半身の感覚障害
  • 右半球病変→左半身の症状(対側支配)
  • 半側空間無視は右頭頂葉、相貌失認は後頭側頭葉
比較表
脳出血の好発部位と代表的症状
部位代表的症状
被殻対側片麻痺(運動優位)
視床対側の感覚障害(視床症候群)
皮質下(頭頂葉)半側空間無視・失行など
小脳運動失調・めまい・嘔吐
脳幹(橋)意識障害・四肢麻痺・縮瞳
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