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理由で解く 理学療法士

QP53A008 理学療法評価学

出典:第53回理学療法士国家試験(2018)午前 問8
問題
68歳の男性。胸部大動脈解離(Stanford分類B型)に対して経カテーテル的ステントグラフト内挿術が行われたところ、術後に麻痺症状がみられた。ASIA評価表の結果を示す。この患者のASIAの重症度スケールと脊髄の損傷部位との組合せで正しいのはどれか。
図
選択肢
1 B ― 脊髄の後方
2 C ― 脊髄の前方
3 C ― 脊髄の後方
4 D ― 脊髄の前方
5 D ― 脊髄の中心部
解答
正解2(C ― 脊髄の前方)
解説

胸部大動脈手術後の対麻痺はAdamkiewicz動脈の血流障害による前脊髄動脈症候群が典型。運動麻痺と温痛覚障害を呈し深部感覚は温存され、運動不全のASIA Cとなる。

胸部大動脈のステントグラフト内挿術では、脊髄を栄養する大前根動脈(Adamkiewicz動脈)の血流が途絶し、脊髄前方2/3を灌流する前脊髄動脈の支配領域が虚血に陥ることがある。この前脊髄動脈症候群では、前索・側索の障害により運動麻痺と脊髄視床路を介する温痛覚が障害される一方、後索を通る深部感覚(触覚・位置覚・振動覚)は温存される。ASIA評価では運動不全麻痺(損傷レベル以下の主要筋の半数以上がMMT3未満)に相当しCとなる。したがって『C-脊髄の前方』の組合せが正しい。

✗ 1. 誤り
B ― 脊髄の後方
Bは運動完全・感覚不全。後索障害単独は本病態に合致しない
✓ 2. 正しい
C ― 脊髄の前方
前脊髄動脈症候群による運動不全麻痺(C)で前方2/3の虚血に合致
✗ 3. 誤り
C ― 脊髄の後方
損傷部位が後方では深部感覚障害主体となり本病態と不一致
✗ 4. 誤り
D ― 脊髄の前方
Dは主要筋の半数以上がMMT3以上と比較的良好で、本症例の重症度と不一致
✗ 5. 誤り
D ― 脊髄の中心部
中心性は上肢優位の麻痺で頸髄の過伸展損傷などに典型、本病態と不一致
ポイント
  • 胸部大動脈手術後の対麻痺=Adamkiewicz動脈障害→前脊髄動脈症候群
  • 前方障害:運動麻痺+温痛覚障害/深部感覚温存
  • ASIA C=運動不全(主要筋の過半がMMT3未満)
比較表
ASIA機能障害スケール
ランク内容
A完全麻痺(S4-5に運動・感覚なし)
B感覚のみ残存(運動完全)
C運動不全(過半の主要筋<MMT3)
D運動不全(過半の主要筋≧MMT3)
E正常
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