学習トップ理由で解く 理学療法士第11章 ▸ 実地 / QP52P004

理由で解く 理学療法士

QP52P004 理学療法評価学

出典:第52回理学療法士国家試験(2017)午後 問4
問題
右股関節の他動可動域を表に示す(屈曲50度、伸展15度、外転35度、内転−10度)。快適速度で直線路を歩行した場合に予想される特徴はどれか。
図
選択肢
1 歩隔の増加
2 右の歩幅の減少
3 左の遊脚時間の延長
4 右立脚時の体幹の左側屈
5 左立脚時の左股関節外転角度の増加
解答
正解1(歩隔の増加)
解説

股関節の内転制限は歩隔(歩行時の左右の足間距離)を増加させる。歩幅(前後距離)は屈曲・伸展可動域に依存し、本症例は屈曲50°・伸展15°と歩行に十分なため歩幅は減少しない——「歩隔=内転(前額面)」「歩幅=屈曲伸展(矢状面)」の対応で選択肢を切り分ける。

正常股関節可動域(屈曲125°・伸展15°・外転45°・内転20°)と比較すると、本症例は屈曲50°で大きく制限される一方、伸展15°は正常、外転35°は軽度制限、内転は−10°で、正中を越えて内転できない(10°の外転位までしか戻せず内転可動域が失われている)。快適速度の直線歩行に必要な矢状面可動域は屈曲約30°・伸展約10〜15°であり、本症例は屈曲・伸展とも歩行に十分なため右の歩幅は減少しない。一方、遊脚後期から接地・立脚にかけては下肢を身体正中へ引き寄せる(内転方向へ動く)必要があるが、内転が制限されているため右下肢を正中に近づけられず、正常より外方に接地する。この結果、左右の足の間隔である歩隔が増大する。したがって予想される特徴は「歩隔の増加」であり、公式正答[1]と一致する。歩隔(左右幅)は内転制限、歩幅(前後距離)は屈曲・伸展制限で変化するという対応関係を押さえることが判別の要点である。

✓ 1. 正しい
歩隔の増加
内転が−10°と著しく制限され(正中まで内転できない)、遊脚〜接地で右下肢を正中へ引き寄せられず外方に接地するため左右足間距離が広がる
✗ 2. 誤り
右の歩幅の減少
歩幅は矢状面の屈曲・伸展可動域で決まるが、屈曲50°・伸展15°は歩行に必要な約30°/10〜15°を満たすため歩幅は保たれる
✗ 3. 誤り
左の遊脚時間の延長
左遊脚=右単脚支持時間で、右股関節の内転制限からは延長する機序がなく、延長はむしろ左膝伸展拘縮や左外転拘縮など左側の問題で生じる
✗ 4. 誤り
右立脚時の体幹の左側屈
右立脚での代償(外転筋不全など)は支持側=右への体幹傾斜(デュシェンヌ徴候)となり、左側屈は起こらない
✗ 5. 誤り
左立脚時の左股関節外転角度の増加
左股関節は正常であり、右の内転制限から左立脚の外転角度が増える理由はない
ポイント
  • 内転制限→下肢が外転位→歩隔(歩行基底)の増加
  • 屈曲・伸展制限→歩幅(ステップ長)に影響
  • 体幹側屈は股外転筋力低下(Trendelenburg/Duchenne歩行)の所見で可動域制限とは別
比較表
股関節可動域制限と歩行への影響
制限方向歩行への影響
内転制限歩隔(歩行基底)の増加
屈曲制限遊脚期の振り出し・歩幅の減少
伸展制限立脚後期の trailing limb 不足・歩幅減少
外転制限遊脚肢の側方クリアランス低下
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