
この図の解説
図はバソプレッシンの「産生から作用まで」を上から下へ追う流れ図である。まず左上の視床下部でバソプレッシンが産生される点を見てほしい。きっかけは右の「浸透圧の上昇」で、これを視床下部の浸透圧受容ニューロンが感知して産生を促す。産生されたホルモンは矢印の「軸索輸送」に沿って神経線維の中を下降し、下垂体後葉から血中へ分泌される。ここが重要で、後葉には腺細胞がなく、視床下部の視索上核・室傍核でつくられたホルモンが後葉に運ばれて放出される(神経分泌)。作用先は下段の腎臓で、集合管での水の再吸収を促進し、その結果として尿量が減少する。これが「抗利尿」であり、抗利尿ホルモン〈ADH〉の名の由来である。右の分岐に描かれた「末梢血管の収縮→血圧上昇」は多量分泌時の作用で、"vaso(管)+press(圧迫)in"の語呂も添えられている。下の黄色枠が目的、青枠がアルドステロンとの対比を示す。
学習の要点
- バソプレッシンは下垂体後葉ホルモンで、腎臓の集合管での水の再吸収を促進し、尿量を減少させる(抗利尿ホルモン=ADH)。
- 覚え方のコツ: 「バソ=water、水だけ集めて薄める」。目的は細胞外液の浸透圧調節で、浸透圧が上がったら水だけ増やして薄めると結びつける。
- 関連知識: もう一つの後葉ホルモンはオキシトシン(子宮・乳腺の平滑筋収縮)。どちらも視床下部の視索上核・室傍核で産生され、神経線維を下降して後葉から放出される(神経分泌)。
- よくある間違い: バソプレッシンとアルドステロン(副腎皮質・球状帯)の混同。バソプレッシンは水だけ、アルドステロンはナトリウムイオンと水の再吸収を促進し体液量を増やす。
- 臨床応用: 分泌・作用が低下すると水を再吸収できず多量の薄い尿が出る(尿崩症)。多飲多尿を診たときに想起する病態である。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
バソプレッシンは腎臓の集合管での水の再吸収を促進し、( )を減少させることから抗利尿ホルモンとも呼ばれる。空欄に入る語を答えよ。
答えを見る
答え: 尿量
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。