
この図の解説
写真で注目すべきは手指の形である。母指が手掌側へ引き込まれ、指が付け根で強く屈曲した独特の肢位を示す。これを助産婦様手(産科医の手)といい、四肢遠位筋に強い拘縮が起こった状態を表す。この徴候の背景は上皮小体(副甲状腺)機能低下症による低カルシウム血症である。上皮小体から出るパラソルモンは骨からカルシウムを動員して血中カルシウム濃度を高めるので、その低下は血中カルシウムを下げる。図下の吹き出しが仕組みを示す。血中Ca²⁺が低下するとNa⁺チャネルの開口率が上がり、静止膜電位からわずかに脱分極するだけで閾値に達して活動電位が発生する。その結果、末梢神経の興奮性が過度に高まり、筋が過剰に収縮してテタニーとなる。
学習の要点
- テタニーは四肢遠位筋の強い拘縮で、手指が屈曲した助産婦様手を呈する。原因は上皮小体機能低下症による低カルシウム血症である。
- 覚え方のコツ: 「カルシウムが減ると神経が暴れる」。Ca²⁺低下→Na⁺チャネルが開きやすく→少しの脱分極で発火→筋が勝手に収縮、と一直線でつなぐ。
- 関連知識: 上皮小体のパラソルモンは骨からカルシウムを動員し血中カルシウム濃度を上げる。その分泌不足が低カルシウム血症とテタニーを招く。
- よくある間違い: テタニーは低カルシウム血症だけでなくアルカローシスでも起こる。アルカローシスではアルブミンが水素イオンを放出し代わりにカルシウムイオンと結合するため、遊離カルシウムが減ってテタニーを誘発する。
- 臨床応用: 甲状腺手術で背面の上皮小体を損傷すると術後にテタニーが出うる。手指の屈曲拘縮や口周囲のしびれは低カルシウムのサインとして注目する。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
血中Ca²⁺濃度が低下すると( )チャネルの開口率が上昇し、正常の静止膜電位から少し脱分極するだけで閾値に達して活動電位が発生する。空欄に入る語を答えよ。
答えを見る
答え: Na⁺(ナトリウム)
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。