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理由で解く 看護師国試

Q110P110 精神看護学

出典:第110回看護師国家試験(2021)午後 問110
問題
Aさん(32歳、男性)は、仕事上のストレスを抱えていた際に知人から誘われ、覚せい剤を常用するようになり逮捕された。保釈後、薬物依存症の治療を受けることができる精神科病院に入院し、治療プログラムに参加することになった。
入院2週後、Aさんは病棟生活のルールを守ることができず、それを注意した看護師に対して攻撃的になることがあった。別の看護師がAさんに理由を尋ねると「指図するような話し方をされると、暴力的だった父親を思い出し、冷静でいられなくなる」と話した。このときAさんに起こっているのはどれか。
選択肢
1 転移
2 逆転移
3 躁的防衛
4 反動形成
解答
正解1(転移)
解説

過去の重要人物(暴力的だった父親)に向けていた感情を、目の前の看護師に向けているのは『転移』である。

転移とは、患者が過去の重要な人物(多くは親など)に対して抱いていた感情や態度を、無意識に治療者(看護師)に向ける現象である。Aさんは注意した看護師に『暴力的だった父親』を重ね合わせて攻撃的になっており、これは典型的な陰性転移である。感情の向きが治療者→患者の場合は逆転移。躁的防衛は抑うつ的な感情を否認して万能感や活動性で覆う機制、反動形成は受け入れがたい欲求と正反対の態度をとる機制であり、いずれもこの場面には当てはまらない。

✓ 1. 正しい
転移
過去の重要人物(父親)への感情を治療者(看護師)に向ける現象で、本事例に該当
✗ 2. 誤り
逆転移
治療者が患者に向ける感情。向きが逆であり該当しない
✗ 3. 誤り
躁的防衛
抑うつ感情を否認し万能感・活発さで覆う機制。本事例と異なる
✗ 4. 誤り
反動形成
受け入れがたい欲求と正反対の言動をとる機制。本事例と異なる
ポイント
  • 転移=患者が過去の重要人物への感情を治療者に向ける
  • 逆転移=治療者が患者に向ける感情(向きが逆)
  • 陰性転移(怒り・敵意)と陽性転移(好意・依存)がある
比較表
転移と関連概念の区別
用語感情の向き/内容
転移患者→治療者(過去の重要人物への感情の再現)
逆転移治療者→患者(治療者が抱く感情)
躁的防衛抑うつの否認を万能感・活動で覆う
反動形成受け入れがたい欲求と正反対の態度をとる
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