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理由で解く 看護師国試

Q108P113 精神看護学

出典:第108回看護師国家試験(2019)午後 問113
問題
Aさん(40歳、男性、会社員)は、うつ病と診断されていた。最近、仕事がうまくいかず、大きなミスを起こし、会社に損失を与えたことから自分を責め不眠となり、体重が減少した。ある朝、リビングの床で寝ているAさんを妻が発見し、大きな声で呼びかけたところ、Aさんは1度目を開けたが、すぐ目を閉じてしまった。ごみ箱に、からになった薬の袋が大量に捨ててあり、机には遺書があった。救急搬送後、意識が清明となり、身体的問題がないため精神科病院に入院となった。
入院後1か月、Aさんのうつ症状は改善を認めたが、同室患者とトラブルが続き、不眠や多弁傾向となった。また焦燥感が強く落ち着いて食事ができなくなった。そのため双極性障害と診断され、主治医から炭酸リチウムの内服の指示が出た。Aさんは炭酸リチウムを服用して1週後、手の震え、嘔気が出現した。Aさんの手の震え、嘔気の原因を判断するための検査で最も適切なのはどれか。
選択肢
1 尿検査
2 髄液検査
3 頭部MRI検査
4 薬物血中濃度検査
解答
正解4(薬物血中濃度検査)
解説

炭酸リチウムは有効域と中毒域が近く、手指振戦・嘔気・下痢などは中毒の初期徴候。血中濃度を測定して中毒かどうかを判断する。

炭酸リチウムは治療有効血中濃度(おおむね0.6〜1.2mEq/L)と中毒域が接近しており、定期的な血中濃度測定〈TDM〉が必須の薬剤である。手指の振戦、嘔気・嘔吐、下痢、口渇、傾眠などはリチウム中毒の初期症状であり、進行すると意識障害・痙攣に至る。Aさんの手の震え・嘔気はリチウム中毒が疑われるため、原因判断には薬物血中濃度検査(4)が最も適切である。尿検査・髄液検査・頭部MRIではリチウム中毒の有無を直接評価できない。

✗ 1. 誤り
尿検査
腎機能や感染の評価はできるが、リチウムの血中濃度(中毒)を判断する検査ではない
✗ 2. 誤り
髄液検査
髄膜炎など中枢神経感染・炎症の評価用で、本症状の原因判断には不適切
✗ 3. 誤り
頭部MRI検査
器質的な脳病変の評価用で、薬物中毒の判断はできない
✓ 4. 正しい
薬物血中濃度検査
リチウムは有効域と中毒域が近くTDMが必須。振戦・嘔気は中毒の初期症状で、血中濃度で判断する
ポイント
  • 炭酸リチウムは治療域と中毒域が近く血中濃度モニタリング〈TDM〉が必須
  • リチウム中毒の初期症状=手指振戦・嘔気嘔吐・下痢・口渇・傾眠
  • 中毒が疑われたら血中濃度を測定して判断する
比較表
リチウム中毒の主な症状(進行度別)
段階主な症状
初期(軽度)手指振戦・嘔気嘔吐・下痢・口渇・多尿・倦怠感
中等度〜重度粗大な振戦・運動失調・傾眠・構音障害・意識障害・痙攣
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