
この図の解説
図は1本の毛細血管を細動脈側(左)から細静脈側(右)へ横断し、赤い上向き矢印の「濾過」と青い下向き矢印の「再吸収」で水分の出入りを対比している。まず押さえるのは冒頭の式「有効濾過圧=血圧-膠質浸透圧(25mmHg)」だ。膠質浸透圧とは血漿タンパク質によって生じる、水分を血管内へ引き寄せる圧で、毛細血管のどこでもほぼ一定の25mmHgとして働く。これに対し血圧は流れるにつれて低下していく。細動脈側では血圧が35mmHgあるので、差し引き+10mmHgの力で水分が組織へ濾し出される(濾過)。中央では血圧が25mmHgまで下がり有効濾過圧は0mmHgとなる。細静脈側では血圧が15mmHgしかないため、膠質浸透圧25mmHgが上回り-10mmHgとなって、逆に水分が血管内へ引き戻される(再吸収)。図下の吹き出しが示すとおり、こうして組織へ出た間質液の約90%は血管に再吸収され、残り約10%が毛細リンパ管に流入する。血圧という「押す力」と膠質浸透圧という「引く力」の綱引きが、場所によって向きを変える点が図の要である。
学習の要点
- 有効濾過圧=血圧-膠質浸透圧。値が正なら濾過、負なら再吸収が起こる。細動脈側+10mmHg、細静脈側-10mmHgが図の核心。
- 覚え方のコツ: 膠質浸透圧25mmHgを「動かない基準線」と考える。血圧が35→15へ下がる過程で、基準線を上回る前半が濾過、下回る後半が再吸収。
- 関連知識: 膠質浸透圧を生むのは血漿タンパク質(主にアルブミン)。毛細血管壁は内皮細胞と基底膜のみで平滑筋を欠くため、水分が通り抜けやすい。
- よくある間違い: 膠質浸透圧が場所ごとに変わると誤解しやすいが、変化するのは血圧の方。血漿タンパクは血管壁を通りにくいので膠質浸透圧はほぼ一定。
- 臨床応用: 低栄養や肝障害でアルブミンが減ると膠質浸透圧が低下し、再吸収が減って組織に水がたまる(浮腫)。リンパ管の回収能を超えても浮腫となる。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
図の細動脈側では血圧が35mmHg、膠質浸透圧が25mmHgであり、有効濾過圧は( )mmHgとなって、水分が組織へ( )される。空欄に入る数値と語の組合せを答えよ。
答えを見る
答え: +10(10)/濾過
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。